金銀銅メダル獲得でも萩野公介は自分に怒り。リオ五輪の競泳終了 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 そんな萩野について、平井コーチはこう言う。

「今年は5月から海外に出たのは、今まで世界大会で優勝できていなかった萩野だからこそ海外で合宿や試合をして、知り合いを増やしてもらいたいと思ったからです。『いつもアジアか日本国内でしか泳いでないな』ではなく、世界の選手たちに顔を知られるようにしなければいけない。それが東京五輪で複数の金メダルを獲るためにも必要なことだと考えました」

 そんな経験をしたからこそ萩野も世界の選手たちが戦っている環境を知り、強さを追求しようとする気持ちが一気に高くなったのだろう。

「今回の五輪の収穫としては、課題が残ったというのが一番大きいと思います。素直に喜ばなければいけないというのも、悔しい思いというのもあって......。贅沢だと言われるかもしれないけど、自分がもっともっとできたんじゃないかな、と思う五輪でした」

 萩野には2013年の世界選手権で、リレー1種目を含めた7種目に出場したという経験があるが、あの時は挑戦することに意義を求めていた。だが今回のリオでは、4種目すべてで金メダルを狙うという、挑戦ではなく戦いにいったものだった。

 だからこそ見えたもの。それが彼にとって間違いなく大きな収穫だった。

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