2016.08.13

不遇な時代を乗り越えて。
金藤理絵「金メダル」の準備はできていた

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 表彰台の中央で金メダルを首にかけ、笑顔を見せていた金藤理絵は、表彰台を降りて、視線を観客席に向け、チームメイトが大喜びをする姿を見つけると、途端にポロポロと涙を流し始めた。

大きな期待に応えて見事金メダルを獲得した金藤理絵「チームメイトや日本人だけでなく、ほとんどの人が国に関係なく祝福の声をかけてくれて。そういうことが今までなかったので、本当にうれしいなと思いました。それに初めて表彰台の上で自分だけの『君が代』を聞くことができて、ちょっと涙が出そうになったんですが、その時は出なくて……。そのぶん最後の最後に、チームのみんなが喜んでくれているのを見て、全部出てしまったという感じです」

 8月11日の競泳・女子200m平泳ぎ決勝。タッチ板に手を付いて電光掲示板を見上げた時、金藤は複雑な気持ちになったという。

「信じられなかったというか、タイム自体は2分20秒30と平凡で、自分のベストより0秒6も落ちたタイムだったので、こんな記録で優勝していいのかなと思って……。表示された自分のタイムと順位を見て『ホントに一番なのかな?』と思っていたんです。だからうれしい気持ちと悔しい気持ちがあって、自分でもよく分からなかったんです」

 しかし、そんな複雑な気持ちも、チームメイトが喜ぶ姿を見ると一瞬で吹き飛んだのだった。