「これが自分色のメダルなのかも」。松田丈志が「銅」獲得で有終の美 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 こう話す松田は「でも結局、最後まであいつらは『丈志さんを手ぶらでは帰せない』とは言ってくれませんでした」と笑うが、江原はリオに入ってからはいつも、「ゴールド、ゴールド」と言いながら金メダルを意識して、飛び込む練習をしていたという。

 平井コーチは「ここまでに獲った4個のメダルは、みんな金を狙いに行って獲ったメダルです。今回のフリーリレーの銅メダルは52年ぶりのメダルですが、そういう意識でやったのが実ってくれた結果。だから次の東京では、しっかりと金メダル狙いができるようになると思います」と話す。

 そして、このリオが最後の五輪になるだろう松田はこう話す。

「前の3人が泳いでいる間にも、自分の中ではけっこう葛藤がありましたね。自分がどれだけのパフォーマンスを発揮できるのかというのもあったし、展開的に前半から行くのか後半で勝負するのかとか。プレッシャーが襲いかかってきた瞬間もありました。ただ終わってみれば、僕があと1秒くらい速く泳げば銀もあったので、その意味では悔しい思いもあります。おそらくこれが五輪の最後のレースになると思うけれど、『最後まで100%満足できる泳ぎはさせてもらえなかったな。でもそれが水泳なのかな?』と思いました」

 そんな松田が最後に手にしたのは、またしても銅メダルで計3つ目。それでも「これが自分色なのかもしれない」と北京五輪のときの言葉を引用して、この結果をかみ締めた。

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