心に広がる「北島ロス」の喪失感。北島康介のリオ挑戦は突然終わった (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 二宮渉●写真 photo by Ninomiya Wataru

 平井コーチも「予選も楽に行って28秒10だったから、28秒頭か27秒台で行ければと思っていました。飛び込みからの浮き上がりや25mまでは良かったけど、そこからなぜかペースを落としてしまった感じで。このところは集中しても野獣のようになる感じじゃなかったので、最後に足りないとしたらそんなところかなと話していたんです。決勝前のウォーミングアップはすごく良かったので、特に『集中していきなさい』という話しかしなかったけど、もうちょっと細かく確認する必要があったのかもしれないと反省しています」と振り返った。

「準決勝を59秒前半で行っていたら決勝では58秒90の自己ベスト更新も狙えていたと思うけど、やっぱり100分の1秒だけ派遣記録を切っての決勝というのはちょっと余計なことを考えるよね。もちろん小関や立石諒のことも考えるけど、今までやってきた五輪選考会の中で一番レベルの高い記録で泳がなければいけないというプレッシャーが、もしかしたら頭の中の大半を占めていたのかもしれない」

 こう話す北島にとってベストな流れは100mで代表権を獲得し、より高いレベルの争いになるだろう200mには、思い切りよく挑戦する状況だった。だが平井コーチが「100mで決まっていれば200mでももっと前半から行っても良かったなと思うけど、変にリスキーなレースもできないから。後手に回ったことで、精神面も含めて追い詰められたのかなとも思う」と話すような状況になっていた。

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