【水泳】萩野公介と渡部香生子、ふたりの4冠達成が示す意味 (5ページ目)
だが最終日の決勝では最初から積極的に突っ込み、自己ベストの2分20秒90で泳ぎきり、2位の金藤理絵(Jaked)に1秒差をつけて圧勝した。
「前半ちょっと頑張ってしまったのがラストに影響したかなというのはあったけど、世界で戦うにはあのくらいのタイムで入らなければいけないので......。200mは一番結果を出したい種目なので精神的にも追い込まれてしまったけど、こうやって壁を乗り越えられたことでまた強くなれたのではと思います」と話す渡部は、最後の最後で世界選手権へ向けて弾みをつけるレースを見せてくれた。
苦しみながらも4冠を達成した萩野公介と渡部香生子。ふたりには確かな成長を感じた。また、リレーで代表入りした中学3年生の池江璃花子と、高校1年生の持田早智ら新世代の台頭もあった。
しかし、全体的に言えば、個人種目で派遣標準を突破したのは男子9名、女子4名。日本水泳連盟の上野広治競泳委員長は、「自己ベストを出せなかった選手も多く、近年の世界選手権や五輪と比べて低調だったのは否めない」と話した。特に400mリレーで派遣標準設定をクリアできなかった男子自由形短距離への不満は大きい。
あえてピークを日本選手権に持ってこなかった選手もいるが、水泳はメダル有望種目だからこそ萩野と渡部以外の若手選手には、今年の世界選手権に限らず、その先にあるリオ五輪に向けて、今大会の結果に危機感を持って更なる高みを目指してほしい。ふたりのエースの4冠達成は、裏を返せば"ライバルたちの伸び悩み"を意味しているのだから。
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