日本シンクロ復権へ。「本当に強い国」への第一歩

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫/フォートキシモト●写真 photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

8月特集 リオ五輪まで1年、メダル候補の現在地(1)

 2004年アテネ五輪までシンクロ日本チームを率いていた井村雅代コーチが復帰し、09年世界選手権以来、五輪を含めた世界大会メダル無しの状況からの復活を目指した今回の世界水泳カザン大会。

チームのテクニカル、フリーでともに銅メダルを獲得した日本チームのテクニカル、フリーでともに銅メダルを獲得した日本 昨年10月のワールドカップでは、13年世界選手権チームのテクニカルとフリーでともに銅メダルを獲得していたウクライナを破って中国に次ぐ2位になった日本は、その自信を胸に全7種目中のどれかでメダルを獲得するという目標を打ち出していた。

 その目標は大会3日目のデュエット・テクニカルルーティーンであっさりと実現された。当日午前の予選でウクライナを0.0908点抑える3位だった乾友紀子と三井梨紗子が、決勝ではその差を0.3309点差に広げてロシアと中国に次ぐ3位になり、銅メダルを獲得したのだ。

 さらにその翌日のチーム・テクニカルルーティーン決勝では、予選でウクライナに次いで4位だったのを逆転し、銅メダルを獲得した。

「昨日の夜に選手たちには、乾と三井がメダルを獲ったけど、予選で勝った上で決勝に挑んだ結果。だけどあなたたちは予選で負けているということを覚えておきなさい。予選と同じだと負けるから、自分たちが変わらなければ勝てない。デュエットとは違い、大きなハードルを超えなければメダルは獲れないんだよ、と言いました」

 こう話す井村コーチは決勝の演技を、「直前の練習はリフトももっと高く跳んでいた。スピードはあったけど高さは足りなかったし、力んでいた」と振り返った。

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