2013.04.17

「萩野世代」が日本水泳界の未来を変える

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Fujita Takao

日本選手権で5冠を達成した萩野公介  4月11日から長岡市で行なわれた競泳日本選手権。大会終了後翌日から東洋大の寮で同部屋になった、200m平泳ぎ世界記録保持者の山口観弘(あきひろ)が「今回は萩野カップと言われるくらい彼のすごさが際立っていた」と苦笑するように、ロンドン五輪400m個人メドレー銅メダリスト・萩野公介の大会になった。

「マイケル・フェルプスやライアン・ロクテ(ともにアメリカ)のように、多種目で勝負できるタフな選手になりたい」と口にしていた萩野。そのための第一歩として今大会は6種目にエントリーしていたが、大会初日から好調ぶりを見せつけた。

 最初の400m個人メドレーは、「大きな泳ぎになって、そんなにいっている感じではないのに速くなっている」と平井伯昌コーチが話すバタフライは、ライバルの瀬戸大也(だいや)に0秒53差の2位で滑り出す。得意な背泳ぎで一気にかわすと、3秒近い差をつけてひとり抜け出した。さらに安定して泳げたという平泳ぎは、ロンドン五輪で出した4分08秒94の日本記録を1秒90も上回るラップタイムで折り返した。「最後の自由形では少し詰まった泳ぎになってしまった」と言うが、ゴールタイムはロンドン五輪2位相当の4分07秒61で日本新。それでも「4分6秒台を出したかった」と不満気な表情まで見せた。

「狙っていた4分6秒台を出すなら200m通過を1分58秒前後でよかったのに、少し速すぎた。6秒台は出なかったけど、最後の自由形でキツさを味わえたのは収穫になった」と、さらに上を見据える発言をしていた。 

 その翌日は決勝レースの間隔が20分程しかない厳しいスケジュール。それでも「(松田)丈志さんとのレースは初めてだったし『強い人』というイメージだったけど、毎日一緒に練習をしているので胸を借りるつもりで泳いだ」という最初の200m自由形では、第一人者の松田丈志を後半に突き放し、派遣標準記録突破の1分46秒28で優勝。

 そして100m背泳ぎでも積極的に泳ぎ、3月のニューサウスウェールズ州オープン(オーストラリア)では0秒15差で敗れていた入江陵介をターン後のバサロで突き放し、53秒01の自己新で優勝した。

 迎えた3日目も萩野の快進撃は続いた。400m自由形は最初から独泳して、日本記録に0秒43差と迫る3分45秒42で優勝。次の200m個人メドレーでは先行した瀬戸を400mと同じように背泳ぎで突き放すと、それまでの記録を1秒50更新する1分55秒74の日本記録で優勝し、大会史上初の5冠を獲得したのだ。