【箱根駅伝2026】國學院大・前田康弘監督が分析する「総合2位」につながるチームづくりの変化と手応え「これだな、というパターンが見つかりました」 (3ページ目)
【好走・野中恒亨への物足りなさは期待の裏返し】
「うちはセオリーどおり、往路を全力で取りにいくつもりでした。戦力の割合でいけば、9対1くらいのイメージです」
攻めるところは攻め、守るところは守る--。大会前に前田監督が何度も話していた真意は、どこにあったのか。
「1、3、4区は攻め、2、5区は守りでした。1区の青木瑠郁(4年)が首位前後で渡し、2区の上原琉翔は粘る。3区の野中恒亨、4区の辻原輝(ともに3年)で突き放し、5区の髙石樹(1年)で逃げ切るプランでした」
練習から好調を維持していた青木と辻原は、ほぼ想定どおり。4年生のスターターは区間新の区間賞、4区を志願した3年生はふたりを抜いて区間4位と力走した。少し思惑と違ったのは野中。出雲駅伝、全日本大学駅伝といずれも3区で区間2位、区間賞と好走したジョーカーには大きな期待を寄せていたのだ。当初は前回同様の1区で起用する構想もあった。
「野中はタイムを出す前から(11月、10000mで27分36秒64をマーク)強いのはわかっていました。前回、中央大の吉居駿恭選手(4年)が大逃げしたようなパターンも考えましたが、それは大きなギャンブルでした。警戒もされますからね」
現実的に考えて、起用したのは3区。当日は6位で襷をもらい、区間3位でまとめて5位に押し上げた。外したわけではないものの、出雲、全日本のように流れを変えるゲームチェンジャーの役割までは果たせなかった。本来のポテンシャルを考えると、物足りなさは拭えない。区間タイムは1時間01分22秒。同世代である中央大の本間颯(3年)が1時間00分08秒で区間賞を獲得しており、前田監督はエース候補に奮起を促していた。
「野中はIQが高いので、今回の経験からいまの自分に何が足りないのかも、わかったはずです。決して失敗ではないのですが、あそこで他大学に勝たないと。持っている能力を考えれば、60分(1時間00分)30秒は切れたのかなと思います。
新チームでは、もうひと回り大きくなると思っています。彼が主軸となり、駅伝力を発揮しなければ、どのタイトルも取れなくなります」
周囲にとって、大きな驚きだったのは鬼門の5区だろう。過去2大会は山上りで順位を落とし、先頭と大きなタイム差をつけられてきた。102回大会では、その「山問題」を見事に解決してみせた。
後編へつづく〉〉〉國學院大・前田康弘監督が固めた総合優勝への決意「覚悟を決めて考えないと、一生、原さんの時代で終わってしまう」
著者プロフィール
杉園昌之 (すぎぞの・まさゆき)
1977年生まれ。スポーツ総合出版社の編集兼記者、通信社の記者として働いた後、フリーランスのスポーツライター兼編集者へ。現在はサッカー、ボクシング、陸上競技、野球、五輪競技全般とジャンルを問わずに取材している。
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