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【箱根駅伝2026】早稲田大・小平敦之の9区快走に箱根優勝メンバーの恩師は「ああ見えてけっこう熱い奴なんです」 来季は駅伝主将として「打倒・青学大」を目指す (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Satoshi Wada

【高校時代の恩師が語る成長ぶり】

 小平は系属校の早稲田実業高出身で、政治経済学部に通う、いわゆる"一般組"の選手。叩き上げで強くなった。

 もともと中学時代には千葉県で工藤慎作(3年)とも競り合い、全国大会にも出場しており、早実高には推薦で入学した。高校時代は南関東大会どまりだったが、3年間、文武両道を貫いた。

「彼は3年間、成績も優秀で、卒業する時には成績優等賞をもらっていました。高校時代にもキャプテンも組長(学級委員)もやっていたので、リーダーシップを発揮できる子です」

 こう話すのは高校時代に小平を指導した北爪貴志先生だ。早大が最後に箱根を制した2011年の第87回大会優勝メンバーのひとりでもある。北爪先生もまた早大1、2年時は出番がなかったが、3年目で箱根のメンバーを勝ち取っていた。そんなところは小平にも重なる。

「うちはそんなに練習をする学校ではないので、『1年目から活躍は難しいかもしれないけど、3年目が絶対に勝負だ』っていうのは話していました。

 彼は高校の時から、目標に対してちゃんと自分で計画を立ててスモールステップを踏んでいました。大学に入って苦労していたところもあったかもしれませんが、ちょっとずつトラックの記録とかも出ていましたし、3年目でやっと来ました。(箱根の走りは)すごいなと思いますね」

 教え子の3年目の飛躍は必然とも言えたが、箱根の快走は北爪先生の想像をも超える活躍だった。

 小平の走りや振る舞い、インタビューの受け答えから、彼には"頭脳明晰""冷静沈着"という言葉が似合うが、北爪先生は「ああ見えて、けっこう熱い奴なんですよ」と素の一面を明かしてくれた。

 北爪先生の記憶に残っているのは、高3時のインターハイ東京都予選の走りだ。1500mと5000mに出場した小平は、調子が上がらないままこの大会を迎えていた。1500mは14位に終わり、5000mでも南関東大会が微妙なポジションでレースを進めていた。後輩の吉倉ナヤブ直希が優勝したこのレース。小平はラスト1周で意地を見せ、順位を上げて4位に食い込み、南関東大会進出を決めた。

「魂のラストスパートでしたね。冷静でクレバーなイメージがあるんですけど、がむしゃらな走りもするし、そういう爆発力もあるんです。そこが小平の強みだなと思いますね」

 この1年も一度は駅伝のメンバー入りが厳しい状況に立たされながらも、そこから奮起。今回の箱根でも、劣勢になった展開を跳ね返してみせた。逆境に強い選手なのだろう。

 総合4位が2年連続で続くなか、駅伝主将として新シーズンを迎える。小平はどんなチームを作り上げるのか。

「総合優勝を目指すと口にすることも大事だと思うんですけど、今回の悔しさを含め実態を考えて、イメージする必要もあると感じています。2011年に総合優勝した時と境遇が似ている。しっかり早稲田らしさを体現できるレース運びをして、青学大の4連覇を阻止できればいいなと思っています」

 大エースの山口智規(4年)は卒業するが、新年度には強力なルーキーを迎える。総合優勝するイメージを確立させて、着実にそこに向かっていくつもりだ。

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著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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