【大学駅伝】青学大が箱根駅伝3連覇へ着実に地固め 塩出翔太と黒田然の言葉から見る今季の強さ (3ページ目)
【2年連続箱根8区区間賞の塩出は「別の区間でもいい」】
ホクレンDC網走大会では塩出が5000mに出場した。
「前期最後の自分のレースだったので、噴かせて終われたらなと思っていました」
今季の塩出は5月の関東インカレでは2部ハーフマラソンで6位入賞し、6月には5000mで13分51秒38、10000mで28分55秒81と両種目で自己新記録を打ち立てるなど、好調をキープ。マルチな活躍を見せてきた。
当然網走でも好記録が期待されたが、ここでは会心の走りとはならず、14分18秒17で組15着に終わった。
「天候にも恵まれず、ちょっと苦しいレースになりました」
北海道らしからぬ蒸し暑さも大きな理由だったが、実は大会の数日前に体調を崩し、万全な状態で臨むことができなかった。
「ポイント練習(強度の高い重要な練習)も1回しかできていない状況だったので、出るか迷ったんですけど......。
冬に向けて長い距離の練習にシフトしていくなかで、疲れが残って扁桃炎になってしまいました。練習に対して自分のコンディションの持っていき方がまだまだ全然できていない。まだまだ弱い」
反省を口にする一方で、調子を合わせられなかったレースを前向きにも捉えていた。
「まだまだ学べることはありますし、伸びしろがあると思っています」
こんな考え方ができるのも、青学大の選手の強さの秘訣なのだろう。
「出雲はつなぎ区間でもいいので走って、全日本と箱根はチームの優勝に貢献できるように主要区間を走りたいと思っています」
駅伝シーズンでの活躍を誓う塩出。箱根駅伝ではこれまで2年連続で8区区間賞に輝いているが、最後の箱根で希望する区間は......。
「自分は別の区間でもいいかなと思っているんですけど、そこはもう戦略なので、(原晋)監督に任せようと思っています」と、チームが優勝するために献身的な姿勢を貫くつもりだ。箱根路で堅実な走りを見せてきただけに、もちろん今季も3連覇のキーマンとなるだろう。
また、塩出の言葉で驚かされたのは、まだトラックシーズンの真っただ中だったにもかかわらず、青学大がすでに長い距離の練習にシフトしているという点だ。
青学大は駅伝、とりわけ箱根駅伝で力を発揮してきたチームだ。今季はトラックシーズンも勢いを感じさせたが、むしろ本領を発揮するのはこれから。着々と準備を進めているところだろう。今季も抜かりないチームに仕上がってきそうだ。
著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。
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