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【大学駅伝】青学大が箱根駅伝3連覇へ着実に地固め 塩出翔太と黒田然の言葉から見る今季の強さ (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文・写真 text & photo by Wada Satoshi

【初の箱根駅伝出走を目指す黒田然】

 タフな一面を見せたのが黒田だ。

 折田や安島の最終組は好条件下でのレースとなったが、黒田が割り振られた5000mC組は17時20分スタートで、時折強い風が吹くなかでのレースとなった。

 黒田もまた男鹿駅伝を走っており、このレースに調子を合わせてきたわけではなかった。

「男鹿駅伝を走って疲労が残るなかでのレースだったので、今できる全部を出し切れたらいいかなと思って臨みました。自己ベスト(13分55秒10)は出たらいいかなぐらいの感じでした」

 序盤は前方でレースを進め、3000mを前に先頭集団から離れてからも淡々とペースを刻んだ。終盤に順位を下げたものの、7着でフィニッシュした。

「13分55秒を切りたかったんですけど、ちょっと風が強くて......。このコンディションで14分1秒なら、まあいいか、っていう感じですね」

 まずまずといった手応えだったのだろう。記録は自己ベストには届かず14分01秒05だったが、納得の表情でこう振り返った。

 昨季の黒田は、全日本大学駅伝、箱根駅伝とエントリーメンバーに名前を連ねたが、ともに補員のまま出場が叶わなかった。今季は関東インカレの2部10000mで日本人トップの4位に入った安島に次いで5位入賞を果たし、10000mではチーム3番手の28分24秒38を持つ。安定感も出てきて、主力としての風格が備わってきた。

「今回の5000mの記録では、出雲駅伝(のメンバー入り)はかなり厳しい。ここから夏合宿に入るので、ポイント練習などでしっかり強さを見せて、メンバー入りできたらいいなと思っています」

 黒田自身はこう話すが、当然、出雲や全日本もメンバー争いに絡んでくるだろう。そして、何より活躍が期待されるのが箱根駅伝だ。

 男鹿駅伝で青学大は1、2年生主体で臨みながらも、全7区間中6区間で区間賞を獲得し、2位の中大に4分以上の大差をつける圧勝で優勝を飾った。黒田は5区(7.5km)を担い、区間2位に30秒以上の大差をつけて区間賞を獲得した。

「本当にチームとして最高の結果でした。1、2年生のチームで、あれだけ走れたのはすごくよかったと思います。僕も、山上りの区間で、断トツで区間賞を取れたので満足しています」

 黒田が走った5区は、アップダウンが激しく、特に3km過ぎからは1km以上に渡って急激な上りが続く。黒田は見事にこの難コースを攻略してみせた。

「自分の強みを生かして、チームに貢献したいと思っているので、箱根駅伝では上りのある区間、2区、5区、8区あたりを狙って、ここから強化していきたいと思っています」

 過去3回、箱根5区を担った"若の神"こと若林宏樹が卒業した今季、ひょっとしたらその後継者に黒田が名乗りを上げるかもしれない。

 青学大は、今年の箱根駅伝優勝メンバーのうち半数以上の6人が卒業した。その穴を埋めるのは決して簡単ではないが、今年の箱根を走っていない折田、黒田然、安島らの成長は、今季のチームにとって大きなプラス材料となっている。

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