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箱根駅伝2区7人抜きの立教大・馬場賢人はエースで寮長 学生最終シーズンに向け成長中

  • 和田悟志●取材・文・写真 text & photo by Wada Satoshi

箱根2区で快走した立教大・馬場は2月の丸亀ハーフでも日本人学生歴代3位の好記録 photo by Wada Satoshi箱根2区で快走した立教大・馬場は2月の丸亀ハーフでも日本人学生歴代3位の好記録 photo by Wada Satoshi

今年の第101回箱根駅伝2区で7人抜きを果たし、立教大の往路8位に大きく貢献した馬場賢人が真のエースとなるべく、その後も成長を続けている。2月の香川丸亀国際ハーフマラソン(兼日本学生ハーフマラソン)では日本人学生歴代3位の1時間00分26で快走。4月から迎える学生最後のシーズンでは、日本代表として臨む夏のワールドユニバーシティゲームズ、そして3大会連続出場中の箱根では出場権はもちろん、64年ぶりシード権獲得に向けて、チームを牽引するつもりだ。

【最初から突っ込み、最後まで粘るスタイルが奏功】

 太田智樹(トヨタ自動車)が日本人で初めて60分の壁を突破するなど好記録に湧いた2月2日の香川丸亀国際ハーフマラソン。先頭集団は入りの5kmが14分05秒、10km通過が28分02秒と驚異のハイペースで進んだ。

 立教大3年の馬場賢人はこのハイペースに食らいつき、59分台を目指す太田や篠原倖太朗(駒澤大4年)らに果敢に挑んだ。

 馬場のトラック10000mの自己ベストは28分40秒67。10kmの通過タイムはそれを大幅に上回っており、ややもすると、無謀とも捉えられかねないペースだった。

「積極性と無謀との線引きがすごく難しいので、『自分のなかでコントロールしていきなさいよ』と(馬場に)言っていたのですが......。でも、箱根の2区でも結構ガツンと入っていたので、(丸亀でも)いくことができたのかなと思います」

 髙林祐介・立大駅伝監督も少し懸念していたが、これが馬場のレース運びであり、持ち味でもあった。

「戦略を立てて終盤に上げていくよりも、最初から突っ込んでいって、粘ってラストまで耐えるほうが自分には向いています。箱根の時とだいたい同じぐらいのペースだったので、"これはいけるな"と思って、とりあえず粘れるところまでついていこうと思っていました」

 8km過ぎのアップダウンで多くの学生ランナーが堪らずに後退したが、ここでも馬場は怯むことなく先頭集団に食らいついた。10kmを過ぎても先頭集団にいた日本人学生は篠原と馬場のみ。併催の日本学生ハーフマラソン選手権の出場者では、馬場だけだった。

 14kmを前についに先頭集団に後れをとったものの、ここからの粘りもすごかった。

「体がきつく、呼吸もだいぶきつかったんですけど、脚はわりと動いていたので、なんとか大幅に崩れることなくいけました。

 後半、ひとりになったんですけど、前に外国人選手がいたので、そことの差が開かないように粘りました」

 終盤、箱根5区で存在感を示す工藤慎作(早稲田大2年)には逆転を許したものの、先行していたジェームス・ムトゥク(山梨学院大3年)を抜き去り、ほかの外国勢にも競り勝って6位でフィニッシュした。

 記録は「61分半を切るくらいを狙っていた」というが、それどころか、日本歴代10位、日本人学生歴代3位となる1時間00分26秒の好記録。同期の國安広人が持っていたハーフマラソンの立教大記録を1分41秒も塗り替えた。

「箱根の(ハーフマラソン・21.0975kmの)通過でも60分台は出ていたので、そのぐらいのタイムを出せたのは評価していいと思います。

 自分でもこの順位を取れて結構びっくりしています。箱根と2戦連続で走れて、一つひとつのレースに合わせる力がどんどん上がってきていると思います」

 今年の箱根駅伝はエース区間の2区(23.1km)で区間7位。丸亀ハーフでも好結果を残し、馬場は手応えを口にしていた。

 また、併催の日本学生ハーフでは2位となり、今年7月にドイツで開催されるワールドユニバーシティゲームズの日本代表にも内定した。

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著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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