検索

箱根駅伝2区7人抜きの立教大・馬場賢人はエースで寮長 学生最終シーズンに向け成長中 (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文・写真 text & photo by Wada Satoshi

【走りではエースとして、学生生活では寮長として】

 この1年の馬場の活躍は目を見張るものがあった。春先からトラックで存在感を示すと、秋以降はまさにエースと呼ぶにふさわしい活躍を見せてきた。

 10月の箱根駅伝予選会では日本人では3番手となる個人15位となり、トップ通過に大きく貢献。11月の全日本大学駅伝では7区を担い区間4位と好走し、シード圏外の11位から一気に7位に押し上げて、初出場で初シード権獲得という快挙の立役者となった。

 そして、今年1月の箱根駅伝ではエース区間の2区で堂々とした走りを見せた。16位でタスキを受けた馬場は、序盤から積極的に飛ばし、一時は5位集団を牽引した。箱根駅伝史上に残るハイレベルな2区で、1時間06分32秒の好タイムで走り区間7位。7人抜きと健闘を見せた。

「自分のなかでも大きく成長できたレースになったと思います。格上の選手たちと戦えたので、"(強い選手にも)ついていけるんだ"っていう自信になりました」

 箱根駅伝ではこれまでも1年時が4区16位、2年時が3区8位と往路を担ってきたが、ここまでの足跡を辿ると馬場の成長を見てとれる。

 そして、丸亀ハーフでの好走につながっていく。

「"しっかり攻めていくこと"と"勝負すること"がテーマ。『箱根2区の走りがまぐれと言われないように、しっかり走りなさいよ』と送り出しました。私としては、入賞を狙えればいいな、くらいに思っていました。本人には言っていなかったですが......。

 うまく突っ込んで、篠原君と競って(先頭集団に)連れていってもらって、離れてからも我慢できるのは2区でも証明していましたが、丸亀でもそれをしっかりできたのは良かったと思います」

 髙林監督も、箱根2区と丸亀ハーフの馬場の走りを高く評価していた。

 好結果を連発したことで、新シーズンの馬場はこれまで以上に注目を集めることになるだろう。前半戦は、全日本大学駅伝の選考会がない分、個人のレースに全力を注ぐことができる。

「学生トップのほうでしっかり戦って、一つひとつの試合で結果を出して、名前を残せるようにしていきたいです」

 大きな目標こそ口にしないものの、馬場はこのように新シーズンへの決意を固めている。また、7月のワールドユニバーシティゲームズは、初めて臨む世界大会だ。

「日本代表として走るので恥ずかしくない結果をしっかり残したい。丸亀でタイムが出たので、これに近い順位、タイムを狙っていきたいです」

 日の丸をつけて馬場がどんな走りを見せるのか、楽しみだ。

 秋には再び箱根駅伝予選会が待ち受ける。立教大は、55年ぶりに予選会を突破した第99回大会から3大会連続で本大会に出場中で、着実に順位を伸ばしている。今年の箱根駅伝は、馬場の激走もあり6区までシード圏内で進めたが、結局13位に終わった。シード権をはっきりと視界に捉えながらも、あと一歩が届かなかった。

「(今年の箱根で)シード権を取れなかった悔しさを、引き続き、チーム全員で持ちつつ、予選会トップ通過を目標に頑張っていきたいです」

 まずは予選会を2年連続でトップ通過。その先に64年ぶりのシード権がある。新シーズン、馬場は寮長という役職にも就いた。

「事務的なことが好きなので」

 寮長としてチームの風紀を整えつつ、もちろんエースとして走りでチームを引っ張っていく。

著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

2 / 2

キーワード

このページのトップに戻る