検索

箱根駅伝 総合4位と健闘した早稲田大・花田勝彦監督が明かす「3強崩し」の戦略 「往路は想定した順位のなかで一番いい位置で終えられた」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

【3区のルーキーがあそこまで走るとは】

――3区は山口竣平選手。ルーキーながら区間3位、順位も5位に押し上げる、すばらしい走りでした。

「(タスキを受け取った時点で)前に多くのチームが見えました。竣平ならかなり追い上げていけるなという自信はありました」

――監督がそう思うだけの裏付けとなるものが彼にはあったということですか。

11月から12月にかけての練習のなかで、智規と竣平は優勝するようなチームがやるべき、非常にレベルの高い練習ができていたんです。竣平はハーフの記録がまだないので、それを踏まえての練習だったんですけど、その成果を出せば相当いい走りができると思っていました。ただ、まさかあそこまで走るとは思っていなかったです(笑)」

――どんどん順位を上げて、茅ヶ崎の海岸沿いでは4位の谷中晴選手(駒澤大・1年)と競う展開になりました。彼の強さは、どういうところだと思いますか。

「竣平にはランナーとしてのセンスの良さを感じます。レース展開を読むのがうまいので、特にアドバイスをしなくても自分の判断でどんどん行けてしまう。ウチにいなかったタイプの選手です。また、1年生ながら質と量の両面でしっかり練習ができて、その練習の成果プラスアルファも試合に出せる。それは高校の時から見てわかっていたのですが、今回の走りを見て、あらためてそう思いました」

――3区で順位を5位まで戻し、3強を崩すにはここからが本当の勝負という展開になりました。

「4区の長屋(匡起)(2年)とは、事前に設定タイムを1時間02分くらいという話をしていました。展開的には後ろから國學院大などが来たので、うまく利用して少し速いペースで行ってもよかったんですけど、本人は後半勝負ということで少し抑え気味に入った。その後、せめぎ合いでかなり神経を使ったみたいで『15㎞からあまり覚えていない』と言っていました。それでも想定内のタイム(1時間0200秒、区間8位)だったので、順位は6位になりましたが、ここまではいい流れで駅伝ができました」

――長屋選手は春先にトレーニングがほとんどできていなかったと聞きました。

「オーバートレーニング症候群になり、練習はもちろん学校にも行けない時期がありました。体重も10㎏くらい増えて、もう今シーズンは無理かなと思う時もあったのですが、7月から1カ月半ぐらいで元の体重に戻してきたんです。夏合宿も最初は少し抑えめでやっていたんですけど、後半は普通に練習をしていましたし、本当に強い選手です。レースも出雲5区3位、全日本7区5位と安定感が出てきました。区間8位でしたが、5区の工藤(慎作)に國學院大や駒澤大が見えるところでタスキを渡してくれたので、いい走りをしてくれたと思います」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る