箱根駅伝2025 東洋大ルーキー・迎暖人は陸上歴3年で「鉄紺」のAチーム入り 父は酒井俊幸監督と同級生 (3ページ目)
【出るからには経験ではなく勝負を】
1年間をAチームで過ごし、11月には、日体大競技会の1万mで28分台(28分56秒50)をマーク。上尾シティーハーフマラソンでは1時間03分38秒の好記録で走った。トラックでもロードでもきっちりと記録を残し、調子は上々だ。
「ケガなく1年間を乗り切ったことが非常に大きいですし、それが自分の強みであると思っています。
夏を我慢して、その夏の答え合わせとして秋に1万mとハーフを走りましたが、自分が思っていたよりもタイムを出すことができました。
(入学時は)同期の3人とは結構な差があったんですけど、少しずつではありますが、縮まってきている。高校の時には考えられなかったほど成長できていると、自分でも感じています」
迎が描いている成長曲線は、自身の想像をも超えるものだったようだ。
ケガが少ない要因を問うと、「やっぱりご飯をいっぱい食べることですね。寮のご飯はおいしいです」と笑顔で答えてくれた。
そんな迎には、酒井監督も高い期待を寄せている。
「1万mとハーフマラソンも、1年生の中では良いタイムで走っています。箱根も経験することができれば、来年以降、主力として面白い選手になるんじゃないかと期待しています」
一戦一戦の経験を力に変えてきただけに、来季以降はさらなる飛躍を見せてくれそうだ。
伸びしろは未知数。東洋大での4年間でどんな成長を見せるか楽しみだが、箱根で出番を勝ち取った暁には、もちろん単なる経験の場にするつもりはない。
「7区か8区あたりを狙っていますが、5区以外であれば、どの区間でもチームに貢献したい。お世話になった4年生の方々が笑って終われるように、自分がチームを支えるつもりで走ります。自分の強みは安定感。任せていただいた場合は、しっかりと堅実にタスキをつなぎたい」
成長著しいルーキーは、こんな頼もしい言葉を口にする。20年連続のシード権獲得はもちろん、チームを上位進出に導く走りを、迎は誓っている。
著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。
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