初出場の全日本大学駅伝でシード権獲得の立教大学 キャプテン安藤圭佑は箱根に向けて「ここは通過点」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

 安藤も馬場と同じく夏から調子を上げてきた。

 春先は監督がいないなか、練習メニューを考え、部員の練習を見守るなど、自分のことに集中することができなかった。4月に髙林祐介が監督になり、「自分のことに集中してほしい」と言われ、ようやく集中して練習ができるようになった。夏合宿で状態が上向きになり、箱根駅伝の予選会では総合43位、チーム内4位でキャプテンとして、また選手としての重責を果たし、トップ通過に貢献した。

 その予選会から2週間、調子を崩さずに8区のスタート地点に立てた。

 それは7区馬場と8区安藤は早い段階で髙林監督から指名されていたので、準備に余裕があり、身体と気持ちをしっかり整えることができたからでもある。
 
 ラスト、ゴールに向かう直線で安藤が加速した。

「ラストは絶対に7位を死守する、絶対に勝つという気持ちを持って走りました。スパートまではいっていないかもしれないですけど、順位を守って終われたのは良かったと思います」

 出迎えた監督から「よく粘った。お疲れ」と言われ、安藤は笑顔を見せた。レース後、立教大の周囲には初出場、シード権獲得という目標を達成したチームへの関心からか、多くの人が詰めかけ、メディアなどの対応に追われていた。

 安藤は、レース後の笑みは消え、凜とした表情でいた。

「序盤に順位が落ちたのですが、シード権をとれたのは稲塚から展開が変わったのが大きかったですね。そこから粘ってババケン(馬場)につながって、先が見えた。自分はババケンからすごくいい位置で襷をもらえましたが、最後までみんなが諦めずにつな繋いできてくれたおかげで、この順位で帰ってこれたと思うので、みんなに感謝したいです」
 
 安藤は表情を崩して、そう言った。

 これで箱根予選会、全日本大学駅伝とふたつの大きな山を越えた。

 トップ通過と、シード権獲得の7位は2冠を達成した國學院大と同様に素晴らしい結果を残したと言える。このままの勢いで箱根に乗り込めば、チーム最大の目標であるシード権獲得が見えてきそうだが、安藤は「ここで慢心してはいけない」と語る。
 
「確かに今回、シード権を獲得するという目標は達成できました。でも、自分としてはここで達成感を持つのではなく、さらにレベルアップしていく向上心を持っていきたいです。チームとしても自分たちは、これからどんどん上に上がっていくチームになっていかないといけない。ここは通過点であり、箱根までの期間も成長したいですし、箱根が終わった後も上を目指していけるように、最後まで自分たちの役割を全うしたいと思います」

 安藤のように冷静な立ち位置で締めてくれるキャプテンがいるチームは強い。

 全日本でのシード獲得は、「全員の駅伝」の成果だったが、それでも7区のエースと8区のキャプテンの走りを抜きにしては語れない。
 
 ふたりの存在感は、箱根でさらに増していくだろう。

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