田中佑美がパリオリンピック準決勝のレーンで考えていたこと「ラッキーで決勝に行けたとしても、それはそれでよくない」 (4ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【中長距離用のスパイクが気に入っている】

── 話は変わりますが、オリンピック後にシューズに関してSNSに投稿されていました。短距離用ではなく、中長距離用のスパイクでレースに臨まれているそうですね。

「そうです。大学4回生の冬ぐらいからアキレス腱に痛みが出ていて、筑波大学を拠点にするようになって谷川(聡)コーチに相談したところ、アップシューズやスパイクを変えることを提案していただきました。

 いろいろ試していくなかで、ナイジェリアのトビ・アムサン選手が中長距離用のスパイクを履いて世界記録を出したと知って、私もトレーニングで導入してみました。ニューバランスと契約していろいろ試させてもらったなかで、今履いている中長距離用のスパイクが気に入っています」

── パリオリンピックに向けたレース戦略も、シューズも、田中選手は「選択」を大事にされているような印象があります。

「アップシューズとかスパイクとかレース戦略とか、まるで私が思いついたかのように話していますけど(笑)、そうではなく、いろんな人の助言を受けて『たしかにそれが正しいな。そういうこともあるのね』と腑に落ちたものが自分の意見になっているという感じです。私は本当に、周りの人に助けられています」

(後編につづく)

◆田中佑美・後編>>「次は『一発』がほしい。一発屋でもいいので」

◆田中佑美・パリオリンピックを終えて〜「私服」スタジオ撮影オフショット集>>


【profile】
田中佑美(たなか・ゆみ)
1998年12月15日生まれ、大阪府出身。中学から100mハードルを始め、関西大学第一高ではインターハイを連覇し、第9回世界ユース選手権に日本代表として出場する。立命館大学では関西インカレ4連覇、2019年には日本インカレ優勝。2021年4月より富士通に所属し、2022年の日本選手権で3位、2023年世界選手権(ブダペスト)日本代表、2023年のアジア大会で銅メダルを獲得する。パリオリンピックでは準決勝に進出。Instagram→Tanaka Yumi(@yu____den)

著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

【写真】田中佑美・パリオリンピックを終えて〜「私服」スタジオ撮影オフショット集

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