田中佑美がパリオリンピック準決勝のレーンで考えていたこと「ラッキーで決勝に行けたとしても、それはそれでよくない」 (3ページ目)
【私はその差を埋める作業をがんばる】
── 今回のパリオリンピックも、次に向けてすでに切り替えている。
「やっぱり大きな出来事でしたし、それに関係してご依頼いただくイベント等もあるので、完全に切り離せているわけではないんですけど、自分のなかでは過去のこととして切り分けようとしています」
田中佑美がパリ五輪の舞台で考えたことは? photo by JMPAこの記事に関連する写真を見る── 準決勝は、予選や敗者復活ラウンドとはまた違った感情がありましたか。
「準決勝はもう、振りきれていましたね。3本目ということもあって若干疲れてもいましたし、自分の実力も相手の実力もわかっていたので、何かのラッキーがあって私が決勝に行けたとしても、それはそれでよくないなとも思っていました。そういうことがあるのも勝負の面白さであり、残酷さでもあるよなって客観的に思っていました。
もちろん、ワンチャンを狙っていないことはないので自分のベストは尽くしますが、自分にとっては『ここがファイナル』くらいの気持ちでしっかり走ろうって思っていました。その先のことは考えていなかったです」
── 40人中39番目での出場で、準決勝進出(結果1組7着)は、健闘に映ります。
「『ほんま、それよな』って、私も思います(笑)。でも、ある意味、肩書きが増えたってことじゃないですか。『オリンピアン』とか『セミファイナリスト』とかって呼ばれますが、他人が勝手にそう呼んでいるだけ。肩書きが増えたってことを客観的に理解しながら、それも背負わないようにしています。
準決勝でとなりのポーランド人(ピア・スクジショフスカ/準決勝3着)についていけなかったから、私はその差を埋める作業をがんばる。ただ、それだけですね。
こう言うと『その差を埋めたらファイナルですか?』って言われるんですけど、それはわかりません。『落ち着け、39番やぞ! 落ち着け、落ち着け!』って思っています。だって、セミファイナリストになったからといって、私の足が速くなったわけでも、実力がついたわけでもありませんから。
自分で『できること』と『できないこと』は何も変わっていなくて、あの場でたまたま力を発揮できただけ。それはそれとして、いいこととして認めるし、自分はよくやったと思うけど、それとこれとは別って思っています」
3 / 4