箱根駅伝17年連続出場の帝京大 トップクラスの選手はいなくても戦えている要因を監督に聞く (3ページ目)
【ベストを尽くすことで展開が広がる】
――今回箱根を走ったメンバーでは半数の5人が卒業します。その穴を埋めるのは簡単ではないと思いますが、来季はどのようなチームづくりを行なっていきますか。
「もちろん西脇や小野が卒業する穴は大きいです。その穴を埋められるとは思っているけど、現時点ではまだ現実味は帯びていません。今は、"やれるよね"と思うしかない。
今回は福田が使えませんでしたし、1年生ふたり(大西柊太朗、廣田陸)も面白くなってきたので、使ってみたかったんですよね。結局、最後のトライアルでは先輩たちがびしっと合わせてきたので、起用することはありませんでした。
2区を走った山中(博生、3年)も、区間順位は16位でしたが、突っ込めることがわかった。勇気を見せてくれました。1時間08分10秒でしたが、来年に生きるレースができた。次は1時間6分台を目指させたい。もう来年のレース展開は決めています。
9区の小林(大晟、3年)も強いはずなのに、前回の箱根、全日本となかなかうまくいかなかった。今回は、これまで1回も勝てなかった、鎮西学院高校(長崎)の先輩の花尾恭輔選手(駒澤大)に勝つことができた。彼もきっかけを掴んだのではないでしょうか。
――今回、シード権を取り戻したことで、目標意識はどのように変わってくるのでしょうか。
「きれいごとを言うようですけど、それぞれが自分のベストパフォーマンスを毎回出してくれたらいいな、と思っています。新シーズンに関してはまだわからないので、各自がそういう走りを見せてくれたら、また展開が広がると思います。
もちろん箱根ではシード権を獲り続けたいと思っていますし、これ以上は下がるな、という最低ラインは決めておきたい。でも、どこまでやれるかは、まだ想像がつかない。これから見えてくると思います」
【Profile】中野孝行(なかの・たかゆき)/1963年8月28日生まれ、北海道出身。北海道白糠高→国士舘大。現役時代は箱根駅伝に4年連続出走。大学卒業後、実業団で競技生活を続け、引退後に指導者となる。2005年11月に帝京大駅伝競走部監督に就任すると、2007年から今年まで17年連続で箱根駅伝出場を継続中。最高順位は、総合4位(2020年)。2021年卒業の星岳(コニカミノルタ)は、オレゴン世界陸上マラソン代表。
著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。
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