全日本大学駅伝で大活躍したルーキーたち 前田和摩ら箱根駅伝でスーパーエースと呼ばれるようになるのは誰だ? (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun

【國學院大ルーキー後村はトップと7秒差で襷】

 1区では、ルーキーたちが素晴らしい走りを見せた。
 
 國學院大の後村光星は落ちついたレース運びを見せ、区間6位で2区山本歩夢(3年)に襷を繋いだ。

「レースの1週間前から緊張して、吐き気を催すなど今まで感じたことがないくらいのプレッシャーを感じました。でも、そういうのを感じて先輩たちは走っているんだなって思って自分もそれを乗り越えていこうと覚悟を決め、スタートラインに立ちました」

 スタートには名のある選手が並び、そのなかには仙台育英高校の先輩である吉居駿恭(中央大2年)の姿もあった。
 
「駿恭先輩は、高校時代の憧れの先輩です。吉居兄弟を越える選手になるのが僕の目標なので、同じ1区を走れたのはうれしかったですね」

 スタート後も冷静だった。高3で都大路を経験し、1区9位と流れを作り、総合5位に貢献したが、今回も1区で良い流れを作った。

「自分は、3大駅伝初だったんですけど、先輩たちからは『失敗してもいいぐらいの感覚でいいよ。うしろに取り戻せるぐらいの力がある先輩がいるから安心して走ってこい』と言われたのでリラックスして走ることができました。トップの駒澤大に7秒差で襷を渡せたので、納得はしていないですけど、最低限の仕事はできたかなと思います」

 チームは3位で終え、「3位以内」という目標は達成された。後村は山本と同部屋の「部屋っこ」で、いつか襷渡しが出来ればと思っていたが、デビュー戦でその夢が実現して「嬉しかった」と言う。次は箱根駅伝になるが、今回の結果を踏まえて箱根での出走も期待が膨らむ。

「箱根は走りたいですが、20キロになると今の力では通用しないと思います。夏に故障してしまい、スタミナが課題だなと思っているので、まずはその強化をしっかりやっていきたいです」

 全日本の1区は9.5キロで、箱根の1区は21.3キロと今回の倍以上になる。どこを走るにしてもスタミナは必須だ。だが、それを強化できれば持ち味のスピードを活かして、國學院大の「3位以内」という目標達成に大きく貢献してくれるだろう。

「箱根の希望区間は、1区か6区です。下りが好きなので、6区で挑戦したいです」

 5区に伊地知賢造(4年)、6区に後村がハマれば、箱根でてっぺんが見えてきそうだ。

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