箱根駅伝で好走したルーキー5人。駒澤大は「2年連続3冠」、黄金期続行に現実味 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

 國學院大では、7区で上原琉翔(1年)が小さい体ながら力を振り絞って、すばらしい走りを見せた。4位で襷を受けると前を行く早稲田大主将の鈴木創士(4年)をとらえ、3位に躍り出た。

「自分のなかには区間賞という目標とタイムも設定したものがあったんですけど、どちらも届かずで悔しかったです。でも、レースで3位に押し上げることができたので、いい位置で渡せて、ひとつ仕事ができたのかなと思います」

 上原は沖縄県那覇市出身だ。北山高校2年の時、國學院大に声をかけてもらい、前田康弘監督と話をするなかで進学への気持ちを固めた。

「決め手になったのは、育成と環境です。勧誘されたのも大きいんですが、自分自身、関東で強くなりたいという思いがありました。もちろん、その頃は力的にはまだまだだったんですが、そういう選手でも國學院大はしっかり成長させてくれる。3年、4年時には箱根で結果を出したりする選手が多かったですし、そういう伸び率を見て、ここ(國學院大)にきました」

 高3の4月には日体大の記録会で5000m、13分56秒84を出し、國學院大入学1年目から即戦力になった。出雲駅伝、全日本駅伝は、同学年の青木瑠郁が出雲1区7位、全日本5君区間賞と結果を出したなか、上原はいずれにも補欠で出走は叶わなかった。「すごく悔しかった」と唇をかみしめたが、その思いを抱えて努力を重ね、箱根では7区を勝ちとり、区間6位と好走した。

「この1年間は、先頭をいく青木を目標に頑張って、最終的に青木、高山(豪起)、そして自分と1年生が3人、出走することができました。来年は、(中西)大翔(4年)さんや藤本(竜・4年)さんが抜ける穴を埋め、柱と呼ばれるような力をつけていきたいです。また、昨年のトラックシーズンでは故障が続いて1回も走ることはできなかったので、4月からはトラックでも結果を出したいですね。そうしてさらに強くなって箱根の重要区間を走り、優勝に貢献したいと思います」

 上原は、凜とした表情で自分に言い聞かすようにそう言った。

 箱根を出走した青木は1区12位、高山は8区13位と思うような結果を残すことができなかった。だが、彼らもまた上原と同じように来年の箱根こそ自分の走りで優勝に貢献したいと思っている。上原たちの代が新シーズンの國學院大の大きな力になるのは間違いない。

 東海大の花岡寿哉(1年)は3区6位とキャンパスのある湘南で勢いのある走りを見せた。

 箱根駅伝予選会では鈴木天智(1年)がすばらしい走りを見せたが、その鈴木が「1年のなかで一番強い」と認めていたのが花岡だった。全日本大学駅伝では、優勝した駒澤大に1秒差の1区7位と好走し、両角速監督の高い評価を得て箱根は1区でほぼ確定だった。しかし、箱根前の練習中に給水でつまずいて足を痛め、最終的に3区に回った。

 駅伝は1区以外経験がないなか、不安視された部分もあったが堂々した走りで区間6位にまとめ、順位を11位から9位へとシード権を狙えるポジションまで押し上げた。残念ながら最終的には15位でシード権を確保できなかったが、両角監督が「来年は石原(翔太郎・3年)とともにチームを引っ張る存在になるでしょう」と期待する次代のエース候補だ。

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