高校記録大幅更新の吉岡大翔(佐久長聖)。留学生のライバルに「まったく通用しなかった」悔しさを糧に順天堂大で「世界と戦う」

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi
  • photo by Wada Satoshi

Sportiva注目若手アスリート「2023年の顏」
第18回:吉岡大翔(男子長距離)

2023年にさらなる飛躍が期待される若手アスリートたち。どんなパフォーマンスで魅了してくれるのか。スポルティーバが注目する選手として紹介する。

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2022年6月のU20日本選手権で快走する佐久長聖高の吉岡大翔(中央)2022年6月のU20日本選手権で快走する佐久長聖高の吉岡大翔(中央)

【8秒以上更新で高校記録を樹立】

 この3年間は毎年、陸上男子5000mの日本高校記録が塗り替えられてきた。

 2020年7月に石田洸介(群馬・東農大二高〜東洋大)が13分36秒89の新記録を打ち立てるまで、それ以前の記録は16年もの間、破られることがなかった。

 それにもかかわらず、石田が止まっていた時計の針を動かすと、2020年9月に石田自身がさらに更新。2021年10月には佐藤圭汰(京都・洛南高〜駒澤大)が、13分31秒19まで記録を伸ばした。

 そして今度は2022年11月に、佐藤の記録が一気に8秒以上も更新され、13分22秒99という高校記録が打ち立てられた。

 新しい記録保持者となったのが、長野・佐久長聖高3年の吉岡大翔だ。

 記録とともにレース内容もすごかった。高校生ながら、実業団の外国人選手や大学の留学生を相手に積極的にレースを進め、ラスト1周を前に先頭に立つ場面もあった。そして、外国人選手に割って入って3着でフィニッシュした。

 中学時代から全国大会で活躍していた吉岡が進学したのが長距離の名門・佐久長聖高だ。

 佐久長聖高といえば、1990年代後半に「スーパー高校生」として注目を集めた佐藤清治に始まり、上野裕一郎(立教大男子駅伝チーム監督)、佐藤悠基(SGホールディングス)、大迫傑(NIKE)といった数多くの名ランナーを輩出している。

 高校入学後、吉岡の才能は一気に花開き、5000mでは1年、2年、そして3年と、学年別の最高記録をすべて塗り替えてしまった。

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