2022.07.18

サニブラウン・ハキームが語った100m準決勝と決勝の雰囲気の違い。メダル獲得には「近いようで遠いイメージ」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

 世界陸上選手権2日目。男子100mでサニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)が、決勝進出という歴史的な快挙を果たした。

 昨年はヘルニアに苦しみ、東京五輪にも出場はしたものの、納得の走りはまったくできなかった。だが、今年は体型も昨年に比べてスッキリし、6月の日本選手権では決勝こそ10秒08での優勝だったが、予選で見せた動きは、いつでも9秒台を出せそうな雰囲気を漂わせていた。

決勝を走り終え、充実の表情を見せたサニブラウン・ハキーム決勝を走り終え、充実の表情を見せたサニブラウン・ハキーム  それを証明したのは、世界選手権初日午後の予選だった。「反応が遅かった」と話していた日本選手権とは違い、リアクションタイム0秒112のすばらしいスタート。そのあともリラックスした状態で加速し、50mあたりで最高速度に達した。最後はストライドが伸びすぎて「ピョンピョンした走りになってしまった」と反省したものの、力むことなくレースをまとめ、向かい風0.3mの条件ながら全体6位の9秒98で準決勝進出を決めた。

「今日はあまりタイムを気にせずに走ったので、とりあえず『9秒台が出たな』というくらいです。『やっと、しっかりスタートをきれたかな』という感じで......。とりあえずコーチからは、『ピストルの音にしっかり反応して、40mからもしっかりといい感じでまとめてこい』と言われていました。本当にいい形で60mくらいまでスーッと抜けて、そこからは気持ちよく走れたと思います」

 ただ、この予選はフレッド・カーリー(アメリカ)の9秒79を筆頭に、7人が9秒台を出す、これまでにないハイレベルな結果。準決勝になればさらに記録を上げてくることも予想された。それでもサニブラウンは前向きだった。

「9秒9台でも準決勝落ちをするかもしれないレベル。そのなかで走れるのはすごくいい経験になる。こんなにレベルが高い大会はないと思うから、『ここにいたんだ』だけではなく、しっかりいい結果を出せればと思います」