三浦龍司が今季初の3000m障害で優勝。好タイムでも「思っていたよりうれしくなかった」理由 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文text by Oriyama Toshimi
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

「東京五輪に出てきた選手たちがフルメンバーかと言えばそうではないし、自分も今年はある程度は頭打ちのような状態になるかとも思っていて、現実を知る1年になるのではと思っています。実際に自己ベストの8分09秒も、そんなに簡単に出せる記録ではないと思っているし、もし同じくらいの記録を出せたとしても、国際大会で表彰台に上がったり、入賞するというのは簡単ではないと思っています。

 期待に応えたいという気持ちはもちろんありますが、あまり非現実的な目標を立てても仕方ないかなと思います。だから今年は、タイムと勝負の時の順位は区別しながら、自分で目標設定をしていきたいと思います」

 今回、前半を抑えて集団の中で走り、ラスト1000mからペースを切り替える走りをしようとしたのは、世界大会では遅いペースで始まり、終盤から一気にペースアップするレース展開が多いからだ。「先勝集団がペースをきり替えた時や、自分で(前に)出なくてはいけないという場面で、最後まで押しきったり差しきる力、ゲームメイクをする力というのは必要になってくると思うので、それをやってみる意味もありました」と説明する。

「今までの自分のレースから見ればイレギュラーな展開でしたが、そのなかでレースを楽しむことができたし、『こういう展開の方法もあるんだ』という自分のなかの引き出しにもなったので、大きな収穫になったと思います」

 3000m障害で勝負して、世界大会でのメダル獲得を目標にする三浦。次のパリ五輪へ向けて、まずは今年の世界選手権へ、冷静に自分の走りを作っていくところだ。

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