駒澤大が箱根駅伝優勝で3冠達成。勝因は全区間5位以内の選手層の厚さと、山の区間での思い切った1年生起用にあった (2ページ目)
2区の競り合いは、白熱した。これまでの実績を見れば駒澤大の田澤が独走態勢に入ると思われたが、昨年1区で区間新の快走を見せていた中央大の吉居大和(3年)が1km過ぎで田澤に追いつくと、2km過ぎには前に出て差をつけ始めた。しかし、12km過ぎに田澤が吉居を抜いて再度トップに立つ。だが吉居は14km過ぎに追いついてきた青学大の近藤幸太郎(4年)についてリズムを取り戻し、終盤に田澤を再び抜いて1位で中継。
「大会前に『今年は特別な思いがある』と話していたのは、夏合宿で大八木監督から『今年で監督を退く』と聞いていたから。監督が退く年に3冠を達成してあげたいという思いが本当に強かった」と話す田澤は、大きく遅れてもおかしくない状況のなかで粘りきり、中央大に3秒差で中継。追い上げた近藤も田澤に1秒差という大接戦を演じた。
3区は中央大の中野翔太(3年)が区間賞の走りで1位をキープし、篠原倖太朗(2年)で2位に上がった駒澤大が青学大に26秒差をつけた。4区はトップに39秒差と遅れた青学大が、前回3区で独走態勢を作った太田蒼生(2年)で先頭に出た駒澤大の準エース、鈴木芽吹(3年)に追いつき、ほぼ並ぶ1秒差で中継してレースを振り出しに戻した。
続く5区では青学大に誤算が出た。区間エントリーしていたのは前回区間3位の若林宏樹(2年)だったが、前日に体調不良を訴えたため、6区を予定していた脇田幸太朗(4年)に急遽変更。それに対して駒澤大は全日本の4区で区間賞を獲得していた山川拓馬(1年)を起用したが、脇田はその山川に2km過ぎから離され始めると2年連続5区となる中央大の阿部陽樹(2年)にも抜かれ、区間9位の1時間12分47秒で3位ながら、駒澤大に2分3秒差をつけられる危険水域に達してしまった。
一方、区間4位の1時間10分45秒で走った山川は、阿部に9秒負けたものの30秒差を維持して駒澤大は19年ぶりに往路優勝を果たした。
青学大の誤算は大きくそのあとにも響いた。6区は初出場の西川魁星(4年)をそのまま使ったが、直前の出走決定で動揺があったのか区間最下位の走りで順位を7位まで落とし、逆転優勝の夢は途絶えた。
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