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記録更新連発で3000m障害に現れたヒーロー。三浦龍司は自身も驚く成長に「マイナー競技でも自分に合っている」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by MATSUO.K/AFLO SPORT

 2020年の7月に8分19秒台を出した時は、自分でも驚いたという。久しぶりのレースだったので高校時代の記録を出せればと考えて走ったが、インターハイで負けたフィレモン・キプラガット(愛三工業)を追いかけて、最後は競り勝ってゴールすると、日本記録にあと0秒44まで迫る8分19秒37だった。もともとラップタイムを見ないタイプだという三浦が、追いかけることに専念し、タイムを気にせず走りぬいた結果だった。

「8分10秒台に乗せられるのは、大学3年くらいかなと思っていたので、あの記録には驚きました。それまでは東京五輪も現実的ではないと思っていたけど、あの記録で現実味が出てきたというか......。このまま記録を伸ばすことができれば、東京(五輪)でもある程度の勝負ができるんじゃないかと、前向きな気持ちになれました」

 昨年の春にコロナ禍で地元の島根県に戻っていた時期は、ロードの長い距離を克服するために毎日25km以上を目安にして走り込んだ。この頃は東京五輪を第一目標にしていたわけではなかったので、箱根駅伝に向けての意識が強かった。しかし、結果的に足づくりもできてスタミナがついた。さらに、かつての陸上クラブの指導者に見てもらってインターバルトレーニングもできたことで、スピード持久力も維持できた。

 それが7月の3000m障害の好記録につながり、さらに夏合宿を経た後の箱根駅伝予選会での初ハーフマラソンでも、日本人トップの1時間01分41秒という結果につながった。

「順大にはリオデジャネイロ五輪に3000m障害で出場した塩尻和也(富士通)さんがいて、箱根も走ってオールラウンダーとして活躍する姿がすごく印象的でした。箱根は関東の強豪校に入った以上は避けられないところなので、トラックとの両立は難しいとは思いますが、やっていかなければいけないところ。でも圧倒的に好きなのは3000m障害です(笑)」

 三浦の登場により、この種目も急速に活気づいている。日本選手権で2位の山口浩勢(愛三工業)と青木涼真(Honda)が東京五輪の参加標準を切って代表に内定。さらに塩尻も世界ランキングで参加資格を得て、補欠として登録されている。

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