吉田祐也が語る自身と陸上界のプラチナ世代「箱根だけにとらわれていない」 (3ページ目)
そのことについて吉田に尋ねると、少し考えてこう言った。
「みんな箱根駅伝だけにとらわれていないからだと思います。世界を目指そうと大学の時から意識していた選手が多かった。箱根で注目されたけど、『まだまだ自分は......』という選手が多く、みんな常に上を目指して努力していましたからね」
それまで「箱根から世界へ」と言われても、なかなかピンとくるものがなかった。箱根駅伝で注目されても、その後、実業団に入って目立たなくなるケースが多い。世界のタイムは現実的ではなく、陸上を続けているだけで満足感に浸っている印象もあった。
だが近年は、MGCといった日本が注目するレースが開催され、日本記録更新者には1億円の報奨金が出るなど、選手は夢を持てるようになった。トラックでもタイムが出るようになり、学生の目の色も変わってきた。
学生の時から将来に向けて準備しているせいか、実業団に入ってもスムーズに溶け込み、全体練習と自主練習をうまくミックスさせながら、成長を続けている。
そんな同世代を吉田は「けっこう意識している」という。
「相澤や伊藤はもちろん、アンカーで区間賞を獲った浦野とか気になりますね。今後も僕らの世代は共栄共存で強くなっていければと思っています」
同世代の走りに刺激を受けるなか、吉田は2021年シーズンの目標について語ってくれた。
「まず世界選手権(通称オレゴン22/2021年から2022年開催に変更)ですね。まだ開催されるかどうかわからないですが、選考会となる大会が決まれば、そこで勝って、マラソンで世界選手権出場を決めるのが最大の目標になります。
トラックシーズンは1万mが27分40秒、5000mは13分30秒切りを目標にしています。これができればマラソンの前半でゆとりが出てくると思うので、しっかりとタイムを狙っていきたいと思います」
2020年はコロナ禍のなか個人練習でレベルアップし、自らの目標を達成した。ニューイヤー駅伝では思うような結果を出せなかったが、120%の戦いは見せた。「プラチナ世代」のひとりとして、2021年もその強さを見せつけてくれそうだ。
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