箱根駅伝でスター候補の学生たち。
日本選手権の走りから記録更新も期待 (3ページ目)
池田耀平(日体大4年)も27分58秒52の好タイムをマークし、東海大・塩澤も28分08秒83で自己ベストを更新した。
塩澤は「8000mから粘ることができなくて......あそこで粘っていれば27分台を出せたと思うんですけど、まだまだ力不足。箱根に向けてしっかり修正できると思います」と前を向いた。
東海大は、今シーズン、大学3大駅伝3冠を目標に掲げたが、残すは箱根駅伝だけになった。
「箱根はどの区間を任されても区間賞を目標に、チームとしては優勝がかかっているので、自分と名取、西田(壮志)の4年生が区間賞を獲って、総合優勝に向けて頑張っていきたいと思います」
ここ数年、日本選手権において、中距離は東海大時代に館澤享次(DeNA)が優勝するなど、学生でも結果を残していたが、長距離は実業団選手と競り合うことがなかなかできなかった。だが今回、5000mで吉居が前に出て、1万mでは中谷が実業団選手とトップを競い合い、田澤が8位入賞を果たすなど、学生の躍進が目立った。
また中谷と太田の快走は、今後のチーム強化のあり方に一石を投じるものになったのではないだろうか。
どの大学も箱根駅伝に勝つため、練習はどうしても駅伝向けのメニューがメインになる。中谷、太田が所属する早稲田大は今年、コロナ禍の影響で個人練習にシフトし、夏合宿も十分に行なえなかった。
そのなかで中谷らはスピードを磨く練習を自ら考え、自分の体をコントロールする術を覚えた。その結果、選手それぞれが質の高い練習をこなすようになり、それがレベルアップにつながった。
すべての学生にそのやり方が当てはまるとは思わないし、ある程度の自由が認められるにはそれなりのレベルが必要だ。だが、横並びの駅伝向けの練習だけでは、個人が大きな舞台で輝くことはなかなか難しい。
中谷、太田をはじめとした早稲田大の選手が箱根駅伝でどんな走りを見せてくれるのか。「W」が躍進すれば、大学の練習の取り組みにも変化が生じるかもしれない。そういった意味で、今回の箱根駅伝は大注目である。
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