2020.11.13

DeNA館澤亨次が挑む「5秒49の壁」。
1500mで57年ぶり快挙へ

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 日本選手権での走りは、その練習の賜物なのだろう。スピードだけでなく、体型やフォームにも変化が見られた。上半身から下半身のフォルムが中距離系ランナーのがっちりした体型になり、フォームも学生時代は首を振りがしゃがしゃした走りだったが、今は頭が振れず安定している。

「練習のなかで大きかったのが体幹などの補強トレーニングとウエイトトレーニングです。ウエイトにかける時間は大学時代よりかなり減りました。コーチのマロン(アジィズ航太)さんと内容や質を一つひとつ確認しながら週1回程度にして、その分、補強に時間を割くようにしたんです。大学時代は嫌いでしたけど、補強をするようになって体つきが変わり、フォームも安定してきました。とくにフォームは、大学の時は気合い走りだったんですけど、日本選手権の時はみんなに『フォームきれいになったね』と言われて......補強の大切さが今になってわかったという感じです」

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 練習の見直し改革はさらに進む。合宿期間中は朝練習をやめた。もともと夜型で、眠れない時は朝方近くまで起きて、そのまま朝練に行くこともあった。だが、睡眠をとることを優先し、午前と午後の2回の練習にすると一気に調子が上がった。

 また、ジョグのスタイルも変えた。自分の足のどこに体重を乗せ、どういう反発をもらえたら一番いいのかを横田コーチに教えてもらった。長めのジョグをしているとその感覚が薄れてしまうため、15、16キロ走っていたジョグを速いペースで8キロ程度にした。

「とにかく横田さんのチームが楽しいですし、それがなによりです。みんなエリートで、強くて、自分だけ遅咲きですが負けたくない。日本一の環境にいると思っています」

 館澤は満面の笑みを浮かべてそう言った。自らの練習と競技スタイルを徐々に確立しつつあるなかで、一番大きな変化を与えてくれたのが横田コーチだった。