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マラソン鈴木亜由子の指導者が語る現状。
有力選手の勢力図が変わる可能性 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 鈴木は中学時代から第一線で競技を続けているが、高校時代はケガの連続で、継続的に走ることができなかった。髙橋監督は「そんなふうにハードな練習ができなかった時期があったからこそ、いろんな意味での溜めができて、大学や実業団での活躍につながったのではないか、と思います。その意味では、今回の五輪延期で試合がなくなって無理をさせなくてもいい時期ができたことにより、選手の競技寿命を伸ばせることになるのかもしれません」とも言う。

 チーム全体を見れば、トラック競技で東京五輪を狙う鍋島莉奈と廣中璃梨佳が今年は一緒に練習するようになり、ほどよい緊張感も維持できる状況だ。さらには、若手選手たちもこれまでと違って主力選手と一緒に練習する時間が増えることで意識が変わるのではないか、という期待もある。

「こういう状況だと、選手の個性も見えてくるのが面白いですね。マラソンに向いている選手はコツコツマイペースでやれる一方、トラックで常に勝負を楽しんでいる選手は刺激(レース)がないので飽きてきたりもするようです。なるべく選手たちが飽きないように練習メニューを変えているのですが、この状況ですし、やはり限界はあります。

 鈴木に関して言えば、ケガをしてリハビリに取り組んだ長い期間がこれまでに何度もあったので、我慢できる強さがある。そこで競技意欲が落ちたり、五輪へ対してモチベーションが低くなったりすることはないと思います。今は鈴木に限らず、他の選手たちも溜めを作る期間になると思うので、この時期をどう過ごすかによって、レース活動が再開したときに成果を発揮する選手とそうでない選手に分かれるのだろうと想像しています。

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