陸上短距離で高校生女王となった御家瀬緑。大学ではなく実業団を選んだ理由 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by MATSUO.K/AFLO SPORT

 御家瀬自身も「他人とは違う道を行きたいタイプなので、そんなに躊躇はなかった」と笑顔を見せる。

 そのような考えに至った根底には、小学6年で北海道ハイテクジュニアに入って身近で見た、福島千里(セイコー)の存在もあった。福島は高校を卒業して北海道ハイテクACに入ると、2年目に100mで11秒36の日本タイ記録を出して北京五輪に出場。翌09年には11秒2台に入り、10年には日本記録を11秒21にまで伸ばして、日本の女子短距離界を牽引してきた。御家瀬は、福島が残したその足跡を追いかけたい、という気持ちになったのだ。

「今になると、福島さんのすごさを実感するけど、ハイテクジュニアに来て、間近で見たときはただ圧倒されて、『あんなふうに走れるんだ......』と感動して憧れるだけでした。福島さんは、動き自体が違うというか、誰にもマネのできない唯一無二な感じの走りがカッコよかったです。

 だから、福島さんのような走りをマネして取り入れようとしたし、それに自分の走りをプラスすることで、さらに上へ行きたいとも思っています。記録が伸びてくるにしたがって自分の体の動きにもキレが出てきた感覚もあるので、このキレをもっと極めて自分の理想に近づけていきたいと思っています」

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