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東海大が箱根再奪取へ。「黄金世代」
卒業後の2つの重要ミッション (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 また、今回エントリーされなかったが、可能性のある1年生がいる。ひとりは飯澤千翔だ。

 飯澤は1500mのスペシャリストでロングは未知数だが、距離を踏んで箱根に絡んでくると面白い。スピードのある選手なので、メドが立てば7区、8区あたりで起用できる。

 もうひとりは金澤有真で、練習の消化率がよく、秋シーズンは好調を維持していた。このまま順調に成長していけば、間違いなく次の箱根は狙えるはずだ。今シーズン、3年生を筆頭に下級生が4年生を突き上げてチームを活性化させたように、上級生に刺激を与える下級生の存在は絶対に必要だ。

 そういう意味で、今回箱根を経験した松崎はその筆頭になるだろう。

「今回、阪口さんや中島(怜利)さんとか力のある選手がいるのに、僕が箱根を走らせてもらった。なんとしても、その経験を生かしたい。今、塩澤さんや名取さんが注目されていますが、先輩たちに勝っていけるようなイメージで練習していけばいいと思っています」

 今回、箱根を経験し、実績を残した。これをステップに飛躍できれば、エースになる可能性は十分にある。

 箱根を経験した選手は「もっと」と気持ちをたぎらせ、箱根を走れなかった選手たちは「次こそは」と意欲を燃やしている。だが、未知数な彼らがどのくらい本気になって練習に励み、結果を出し、箱根の椅子を取りにくるのか。王者・青学大に勝つには、相当な覚悟が必要になる。

 はたして、塩澤ら"黄金トリオ"に続く選手がどれだけ出てくるのか。新戦力の台頭と新たな強化の確立が、王座奪還の両輪になる。

  『箱根奪取 東海大・スピード世代 結実のとき』

【発売日】2019年10月4日

【発行】集英社

【定価】1,300円(本体)+税

【内容】2019年1月3日──。 往路2位から復路8区の大逆転劇で みごと箱根駅伝初優勝を飾った東海大学。 その“栄光”にいたる道程にあった苦難や葛藤、 当日のレース模様などを 監督、コーチ、選手たちの証言を交えて 鮮やかに描き出す。

そして、「黄金世代」と呼ばれて輝きを放ってきた 現4年生たちが迎える学生最後のシーズン。彼らはどのような決意で箱根連覇に挑むのか。 出雲・全日本も含む3冠獲得を目指し、東海大学の「黄金世代」が駅伝シーズンに向け、再び走り出す 。

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