2019.11.12

神野大地が激白「僕はまだ五輪の切符を
手にするレベルじゃなかった」

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by AFLO

神野プロジェクト Road to 2020(37)

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「最初に(レースを)見た時は、やっぱりきつかったです」

 神野大地(セルソース)MGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)のレースを初めて見直した時、そう思ったという。

 9月15日、東京五輪のマラソン男子の代表枠を決めるMGCに神野は出走した。30名いるライバルのなかから、その椅子を獲得できるのは2名のみ。季節外れの暑さのなか、レースはスタートからまさかの展開が続き、ラストでは激烈な優勝争いが繰り広げられた。白熱したレースはかつてないほどの注目を浴び、テレビでは16.4%の高視聴率を生んだ。

 そのMGCから神野は、何を得たのだろうか。

東京五輪出場をかけたMGCで17位に終わった神野大地 MGCは、設楽悠太(Honda)がスタート直後から飛び出し、ひとり旅を始めた。誰も設楽にはついていこうとせず、それ以外の選手は10キロまで3137秒、1キロ約309秒のスローペースでお互いをけん制していた。そんななか、神野は、12キロ付近で山本憲二(マツダ)と前に出て、レースを引っ張った。

「スローペースで大きな集団だったので、少しペースを上げて(集団の人数を)絞っていこうと思ったんです」

 神野が仕掛けて集団が縦長になり、分裂するかに見えたが、すぐに元に戻ってしまった。再度、神野が仕掛けたのは16キロ手前付近だった。鈴木健吾(富士通)が集団の先頭をいくなか、歩道側からスっと前に出た。ここで、また集団を絞り、2位集団を形成しようと考えたのだ。

「あそこで前に出た時、ついてきたのは服部勇馬(トヨタ)と中村匠吾(富士通)さん、大迫傑(ナイキ)さん、鈴木健吾の5人だけだったんです。このまま落ちずにいければ後続との差が開いて、この5人で最後に勝負できるかもしれないと思っていました。実際、16キロから17キロのペースが253秒ぐらいに上がったんです。その時はペース的に問題がなく、まだ大丈夫だったんですけど……