「黄金世代」から「黄金トリオ」へ。箱根連覇へ東海大の3年生が好調だ (5ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 この日の名取の走りは、東海大を優勝に導いたということだけにとどまらない。他大学に「名取強し」のイメージを与え、箱根のオーダーにしっかりと名を刻んだことになる。両角監督は、名取の箱根での起用について構想があるという。

「箱根は、前回の湯澤(舜)のように2区を考えています」

 東海大にとって2区は、連覇を果たすうえでクリアしなければならない重要区間だ。今年1月の箱根で2区を任された湯澤は、ミスすることなく次につなげる役割に徹した。"守りの駅伝"が見事にはまったわけだが、湯澤の走りが流れをつくったと言っても過言ではなかった。

 名取は湯澤とは少しタイプが異なるが、攻守のバランスに優れ、今回の全日本で箱根2区を走れることを証明した。ほかにも阪口竜平(4年)らがいるので確定ではないが、名取を2区に置ければ阪口をほかの区間に使えるので、かなり現実的な構想だといえる。

 個人的にも名取は2区にフィットすると思っており、夏前から箱根の話をしていた。これまでは「夏合宿が終わって力がついたら......」「駅伝でしっかり走って結果が出たら......」と笑顔でかわされてきたが、今回のレース後は「箱根までの2カ月、しっかり練習して、調子がよければ2区で勝負できればいいかなと思います」と前向きな発言が飛び出た。気持ちは2区で整えていたはずだが、今回の走りで名取のなかに"覚悟"のようなものが芽生えたように見えた。

 全日本大学駅伝で見せた3年生の"黄金トリオ"の走りは、16年ぶりの優勝に大きく貢献した。この勝利は、3人に力があることはもちろん、主力不在でも勝てるということをチーム内外に証明した。今回、結果を出したことで、これまで"黄金世代"一色だったチームカラーに変化が生じていくだろう。

 とはいえ、箱根連覇を達成するためには、黄金世代の主力の力が必要だ。

 西田は「全日本のメンバーに館澤さん、關(颯人)さん、鬼塚(翔太)さん、阪口さんがどう絡んでくるのか。4年生が戻ってくれば、前回の記録を更新しての優勝が見えてくると思います」と語る。4年生の主力がいるからこそ、下級生たちがノビノビと走れることを西田は感じているのだ。

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