「黄金世代」から「黄金トリオ」へ。
箱根連覇へ東海大の3年生が好調だ (3ページ目)
東洋大の今西を追い、5.1キロ付近では両角監督から「西田、26秒差だ。詰めてるぞ!」と声をかけられた。だが、9キロ地点でも25秒差と、その差はなかなかつまらなかった。
「下りの先輩(今西)は相当いいペースで走っていたので、難しかった。甘くなかったですね」
それでも西田は区間賞を獲得する走りで、逆転優勝への布石を打った。それはまるで、今年1月の箱根駅伝を見ているようだった。5区のスタート時、2分48分あった差を1分14秒差に縮めて、逆転優勝の立役者のひとりとなった。そして今回の全日本では、39秒差から26秒差に縮めた。
「ラストに両角先生から『市村を楽させてやれ』って喝を入れてもらったんです。できるだけいい位置で市村につなごうと思っていたし、そこでもう一回、切り替えて走ることができたので、昨年よりはいい走りができたかなと思います」
昨年は大会直前に足を痛めて出走し、区間3位になったが、その代償は大きく、戦線離脱を余儀なくされた。今回はこのまま箱根に向けて、いい調整ができるだろう。
「力がついた分、それがどう山につながるか楽しみですね。箱根は、自分が山(5区)にいると安心できるとみんなに言われましたし、期待されていると思うので、裏切らないようにしっかり結果を出したいと思います」
"山の神"になるべく、これから2カ月間は山上り中心の練習に切り替えていく。
スタート前、アンカーの名取は落ち着いていた。
「松尾さんが走り始めた時は、3位の青学大と1分3秒の差があったので、先頭で、しかもそれなりに差があるなかで襷をもらうのかなと思っていたんです。でも、途中で両角先生から『もしかしたら二番手で襷をもらうことになるかもしれない』って連絡がきて。でも2秒差だったので、最初は突っ込みすぎず、一定のペースでいけば......という感じでした」
先行した青学大の飯田貴之(2年)は、学年はひとつ下だが、前回の箱根駅伝では8区を任され、区間2位の走りを見せた実力者だ。だが、名取は怯(ひる)まなかった。
「自分より経験があるけど、ひとつ学年が下なので、負けるわけにはいかなかった」
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