立教大が箱根駅伝を目指し改革実行。
名選手の指導でチームは変わった

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 その日、立教大の新座キャンパスのトラック前に、陸上競技部の全選手が集合していた。水曜日と土曜日は、陸上競技部全体が集合してミーティングを行ない、その後、各種目に分かれて練習を始めるのだ。

 全体ミーティングが終わると、上野裕一郎監督の前に男子長距離パート25名の選手が集合し、この日の練習メニューとその意図が伝えられる。選手は、監督が放つメッセージを真剣なまなざしで聞いている。

選手たちと密にコミュニケーションを取る立教大・上野裕一郎監督(写真中央)選手たちと密にコミュニケーションを取る立教大・上野裕一郎監督(写真中央) この日の練習の目的のひとつは、1026日の箱根駅伝予選会に向けてのポイント練習で、14名登録したメンバーから12名に絞るためのものだ。

17時スタートだから、それまで各自準備しておくように」

 まだスタートまで1時間程度ある。選手は各々アップをはじめ、上野監督は福岡から見学に来ていた高校生と一緒にトラックを走り始めた。かつて日本のトップを走った監督と一緒に走ることになった高校生は、感激の面持ちで「こんなことないですよね」と笑顔だった。

 立教大学は、昨年11月「立教箱根駅伝2024」事業を立ち上げた。箱根駅伝には1934年の第15回大会に初出場し、それ以降27回の出場を果たしているが、1968年の第44回を最後に出場が途絶えており、約半世紀ぶりとなる2024年の第100回記念大会への出場を目指すという、大学挙げての一大事業だ。

 その船頭になったのが、中央大時代に4年連続して箱根駅伝を走り、日本選手権の1500m、5000mで優勝するなど、日本屈指のスピードを持っていた上野だった。

 昨年12月から本格的に動き出し、すでに10カ月が経過したわけだが、ここまで自身が思い描いているチームづくりはできているのだろうか。

「最初の頃はスカウティングが忙しかったり、練習メニューをほとんど消化できず、選手には『なんでうまく走れないんだろう』って思うこともありました。でも、夏前ぐらいから練習を消化できるようになって、今はようやく走れるようになってきたかなという感じです。とくに力がなかった選手がジャンプアップしたり、やる気を見せてくれているのがうれしいですね」

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