東海大・両角監督が語る「新シーズン
強化計画と箱根連覇のキーマン」 (3ページ目)
企業スポーツといえば、いま話題になっているのが日清食品グループ陸上部の問題である。先日、佐藤悠基、村澤明伸以外の部員12名に退部通告が出され、今春入社予定だった大学生2名が内定を取り消された。陸上界に衝撃を与えたニュースだが、実業団に学生を送り出す大学にも少なからず影響は出るだろう。
―― 日清食品の陸上部問題について、両角監督はどのようにとらえていますか。
「東京五輪前のこのタイミングで......ということでびっくりしました。私自身も現役時代、ダイエー、日産と会社の業績や方向転換などで移籍を経験してきましたが、会社の事情で最初に切られるのが企業スポーツだと思っています。ただ、経営者側は慎重に考え、苦渋の決断だったと思いますし、結果を残せなかった選手自身にも問題があるような気がします。慈善事業で企業スポーツをやっているわけではないですからね。選手は常に危ない橋の上にいることを意識し、競技者として自分の魅力を発揮していかないといけないと思いますね」
―― 今後、学生の就職にも影響してきそうですか。
「陸上をやっている学生は、走るのが得意なので、それで就職したいという気持ちが強いと思うんです。でも、本当にその想いだけでいいのか、ということですね。当然、永遠に走ることはできないので、セカンドキャリアを考えていかないといけない。その時に自分がどう対応できるのか。私は教員免許を取ることを積極的に学生に勧めていますが、そういうことも大事だなって思います」
そして4月からの新シーズンで気になるのは、年間の強化プランである。昨年は、夏まではトラックでスピードを磨いた。夏合宿からは長距離、とりわけ全日本大学駅伝以降はレースに参加せず、合宿で距離を走り、選手のコンディションを整えていった。その新しい取り組みが、悲願の箱根駅伝初優勝に結びついたのだ。
―― 新シーズンも今回の成功例を踏襲していくのでしょうか。
「基本的にはそうです。今年も、秋の競技会への参加は考えずにやっていきます。そういう流れを崩してしまうと、逆の結果になる可能性がありますから。箱根に向けてはいい流れができているので、今の1~3年生はそのままやっていきます。また、4月から新たにコーチングスタッフが増える予定なので、学生たちをきめ細かく見ていくことが可能になると思います」
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