2019.01.05

「これぞ箱根の駆け引き」。
青学大vs東洋大、両監督の戦略を分析した

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

 総合力の高さで東海大が初優勝を決めた第95回箱根駅伝で、「これぞ箱根駅伝の駆け引き」という面白さを見せてくれたのが、往路の東洋大と青学大のレース戦略の組み立て方だった。

 青学大の原晋監督は、12月29日の区間エントリーで、3区に湯原慶吾(1年)、4区に岩見秀哉(2年)の3大駅伝未経験のふたりを入れて、前回2区区間賞の森田歩希(4年)と1区区間5位の鈴木塁人(3年)を補欠に回していた。

5連覇はならなかったものの、復路優勝で底力を見せた青学大 一方、東洋大の酒井俊幸監督は、前回2区区間3位のエース相澤晃(3年)と3区区間賞の山本修二(4年)を補欠にして、2区と4区は当日変更を見据えていた。

「森田くんは故障気味と聞いていたので、往路なら3区だろうなと思っていました。原監督は3区に強い選手や調子のいい選手を置く傾向があるし、2区に梶谷瑠哉くん(4年)を置いたということで、3区に軌道修正できる選手が必要と思った。4区を代えてくるかなという予測もしたけど、青学大は全体のレベルが高いので、『誰を使っても(大丈夫)』という点が大きいと思いました。

 森田くんはひとつ抜けている存在だと思っていますが、彼を含めて誰が来ても今の相澤だったら突き放せるし、むしろ山(5区)にアドバンテージを持って入っていかないと(東洋大の)往路優勝はないと思って相澤を4区にしました。区間賞は当然で、そこで後続を目いっぱい引き離すことが彼に課した役割でした」(酒井監督)

 青学大の1区は今季急成長した橋詰大慧(4年)で、東洋大は同区区間賞獲得の西山和弥(2年)。実績は西山が上だが、5000mと1万mのベストを見ると橋詰が上で勝負はどちらに転ぶかわからず、大差にはならないと予想された。実際、西山が六郷橋あたりから先に仕掛けて区間賞を獲得したが、橋詰も粘って6秒差の3位でつないだ。

 2区は東洋大の山本が中大の堀尾謙介(4年)と競り合って先頭を行く形になり、青学大の梶谷はじりじり突き放される展開に。結局、山本はラストで国士舘大のライモイ・ヴィンセント(1年)に首位を明け渡す思わぬ展開になったが、10位に落ちた青学大との差は59秒に広がっていた。