2018.12.21

東大生ランナーが最後の箱根に懸ける思い。
「学連をひとつのチームに」

  • 高橋憲治●文 text by Takahashi Kenji
  • photo by Matsuo/AFLOSPORT

前回の箱根駅伝はインフルエンザにより欠場を余儀なくされた東大生ランナー・近藤秀一 12月中旬の夕方、雨の東大駒場陸上競技場。氷点下近いと思われるほどの冷え込みのなか、近藤秀一は競技場のトラックを走っていた。この日の東大陸上運動部長距離パートのメニューは1000mのインターバル。各自でペースを設定して1000mを走り、間の200mをジョグする。

 関東学生連合の合宿から戻ってきたばかりだった近藤は「今日は軽めで、スピードを身体に覚えさせる感じで……」と決めてトラックに向かった。

 スタートしてすぐに近藤は仲間が作る集団から飛び出して単独走になる。しかし箱根駅伝の相手の幻と集団を組むかのように、1キロ2分55秒のペースを淡々と刻んだ。予定どおりに1000mを通過。しかしこれでは足りないとばかりに1200mまで走った。5セット目、雨足が強くなってきたところで練習は中止になった。近藤は少しもの足りなさそうな顔をしながら引き上げた。

 前回の箱根駅伝で3年連続3回目となる学生連合チームに選出された近藤は、3度目の正直とばかりに堂々と箱根1区を走って学生連合を卒業するはずだった。しかし近藤は年末にインフルエンザに感染し、1月2日を実家のテレビの前で過ごすはめになった。

「ここぞというタイミングでそういうのがくるタイプなのかもしれません。高校の時も、最後の大会で体調を悪くしたんですよ」

 近藤は苦笑いするが、最終学年の今年はその後もアクシデントが続いた。「大きな目標」である東京マラソンは30キロ過ぎで故障のため棄権。その故障が癒えていなかったのか、8月に再び故障してしまった。復調前に参加した9月の全カレ10000mは途中棄権だった。沼地にはまったような近藤の体調が上向いたのは、箱根駅伝予選会の3週間ほど前だったという。

 半信半疑のなかで走った予選会では昨年より順位を落とすもハーフの距離を1時間3分44秒で走った。全体47位、学生連合対象選手のなかでは3位という成績を手堅くゲットして4回目の学生連合選出となった。