視界良好。日本男子短距離への期待が増すアジア大会の3つの収穫 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Morita/AFLO SPORT

 20年ぶりの優勝を果たした日本にとって、この勝利は東京五輪へ向けての大きな収穫となった。このレースは現時点での最大限の力ではなく、余力を残しての勝利であり、1走の山縣はさらなる進化を見せ、桐生も3走のスペシャリストとしてその力を存分に発揮した。

 個人戦では、山縣がシーズン序盤のモヤモヤを吹き払う走りで銅メダルという結果を出したのに加え、今季急成長の小池が、200mで末續慎吾以来12年ぶりの金メダルを獲得したことも収穫だろう。

 日本選手権の200mでは飯塚に次ぐ2位だった小池だが、その後、ヨーロッパ遠征で100m自己タイ記録の10秒17を出すと、200mでは自己新の20秒29をマーク。その力が本物であることを示していた。

 そしてアジア大会本番、「外国の大会は気持ちが盛り上がってくるから好きだし、大きな大会にピークを合わせるのは自信がある」と話していた小池は、「予選はセーブしすぎたので、刺激を入れるために前半から行った」と、準決勝で積極的なレースを見せ、トップタイムで決勝進出を果たした。

 決勝は少し走りにくい3レーンながら、「カーブを走るのは得意」という持ち味を発揮した小池。前半から積極的に突っ込んで3位以下を大きく突き放し、隣のレーンのヤン・チュンハンと肩を並べるように直線に入ると、競り合いながら最後は互いに体を投げ出すようにゴール。20秒23の同記録ながら0秒002差で小池が先着した。

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