2018.06.26

100m王者は山縣亮太。
9秒台連発の中国勢にアジア大会で勝てるか

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 でも、準決勝の(自分の)走りをビデオで確認して、スタートは思っていたより悪くなく、中盤からの集中力を欠いていたことに気がつきました。19日の練習で、60mのスタートダッシュをやった時に、30mまでは集中力があるときも、欠いているときも、それほどタイムは変わらないのに、60mでは0秒1の違いがあったことを思い出したことで、あとはそれをやるだけだという気持ちでレースに臨めました」

 維新百年記念公園陸上競技場(山口県)のトラックは、「7年前の国体の時はすごく硬くて走りやすいタータンだなという思いがあった」と山縣は振り返るが、今回は女子の優勝タイムが、追い風0.8mで11秒64と、思ったより記録が出ない傾向もあった。

 その中で、これまでとは少し違う感覚を持って、最後まで走りきった山縣の10秒05という記録は、彼自身「9秒台に達していないということに関しては、まだまだ鍛えていかなければいけないですが、レース自体は今できるベストを尽くせたし、悪くないと思う」というように、勝負の場の結果として、高く評価できるだろう。

 序盤では先行されながらも、ラストで桐生を0秒02振り切る10秒14で2位になったケンブリッジは、「今シーズン一番いい状態で臨めているという手応えをもあったなかで、予選と準決勝では自分の思うようなタイムが出なくてモヤモヤした部分はありました。最後に桐生くんを差しきれたのは、今シーズンの中で一番自分の持ち味を発揮できたレースかなと思いますが、タイムも順位も......。今シーズン1回も勝っていないので、やっぱり勝ちたかったですね」と悔しそうに話す。

 今季は、冬にアメリカのプロチームでトレーニングをするなど新しい試みをしているが、「10秒12とか14とタイムは出ているけど安定感がなかったり、自分の中では難しく感じているシーズンです」というように、布勢スプリントの予選で光った走りをさらに磨き上げるまでには至らなかった。