桐生祥秀が自分でもビックリ。今季初戦の「大失速5位」は良い兆候? (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 昨年は3月、4月と10秒0台を連発するスタートを切りながらも、6月の日本選手権では足元をすくわれる形で4位に沈み、世界選手権の個人種目出場を果たせなかった。そんな経験もあって、今年はあえてシーズンインを遅らせ、身体的、精神的ピークをしっかり6月の日本選手権と8月のアジア大会に合わせようとしているのだ。静岡国際陸上の200mはその第一歩だった。

「僕が言ってはいけないかもしれないけど、桐生は本当にビックリさせてくれる奴だから、この振り幅の大きさも彼なのかなと思います。それに9秒98を出して以来、少し浮足立っていた部分もあるので、今回はある意味いいお灸をすえてもらった感じですね」(土江コーチ)

 静岡では桐生本人も苦笑するほど大失敗の走りだったが、これからの100mのレースでは、9秒台一番乗りを期待され続けた昨年まで以上に、10秒0台で走ってもため息をつかれるような状況になるだろう。そんなプレッシャーのかかる戦いが控えている彼にとっては、この失敗レースからのシーズンインも、過剰になりそうな自身の緊張状態を緩めてくれる意味ではよかった。

 次の上海とゴールデングランプリ大阪は、目の離せないレースになりそうだ。

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