崩れたライバル、崩れぬ青学大。「箱根駅伝を勝つメソッド」で4連覇 (2ページ目)
「山藤は全日本のあとに八王子ロングディスタンスも走っているので、その疲れが残っていたのかもしれません。鈴木も2月の東京へ向けてマラソン練習をしているので、その疲れがあったのでは......」と神奈川大の大後栄治監督はピーキングの失敗を口にする。
鈴木も「全日本優勝という今までにない経験をしたので、どこかにプレッシャーがあったのかもしれない」と言う。それほど注目されていなかった前回とは違い、誰もが学生ナンバーワンと認識し、「走って当然」と見られていた鈴木。序盤から時計のラップタイムを気にする素振りをしばしば見せていたが、自分の走りの感覚を重視するより、確実に走らなければいけないという気持ちが勝っていたのだろう。それが彼の本来の動きを抑えてしまった。
一方、東海大はエースの關颯人(せき はやと/2年)が疲労骨折で使えないことで、走る前から劣勢に立たされていた。1区は1万m28分32秒24を持つ三上嵩斗(しゅうと/3年)が当日変更で入ったが、勝負どころで対応できず、神奈川大からさらに4秒遅れる区間7位に。2区の阪口竜平(2年)は出雲駅伝の1区で区間賞を獲得していたが、まだ長い距離の実績がない選手。1時間08分55秒(区間7位)の走りで青学大の森田には1分40秒負けた。
さらに3区で青学大の田村和希(4年)と対等に走ることを期待されて起用された鬼塚翔太(2年)も、区間3位ながら田村には48秒負け。悪い流れの中で4区の春日千速(ちはや/4年)と5区の松尾淳之介(2年)も、「自分がやらなければ」という気持ちが過剰になってしまい、ともに区間12位で順位を上げられない。駅伝では最大の敵である"流れの悪さ"に、押しつぶされる結果となった。
往路で青学大に食らいつく力があると思われた順天堂大も、エースの塩尻和也(3年)の調子がもうひとつだったためか、長門俊介監督が最もやりたくないと言っていた、もうひとりの主力の栃木渡(4年)を1区に持ってきて2枚看板を1区、2区と並べる配置になった。だが栃木が区間10位に沈み、塩尻も好調時とはほど遠い1時間09分26秒の走りになると、優勝戦線を賑わすことなく中位に低迷した。
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