「箱根の山で目立ちたい」。強気の1年生は東海大の秘密兵器になるか (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

「厳しい、もうダメ」

 帰りの車の中で西田は悲鳴をあげていた。この状態では、今年の箱根は難しいだろうと思っていた。しかし、9月上旬の北海道・紋別合宿中、春日が大腿部疲労骨折で離脱。復帰まで1カ月半を要した。その間、西田は松尾と争い、メキメキと力を伸ばしてきた。

 この急成長してきた1年生が非常に気になるのだ。

 力をつけてきた要因は、「食事」だという。

「高校時代までは食が細くても大丈夫だったんです。でも、大学になって走る距離が倍以上になるんで、『エネルギーになるものを口から取らないとダメだぞ』って監督に言われて......。それで、朝と夜は、ごはんを2杯以上食べることを決めたんです。

 最初はキツかったんですけど、ちゃんと食べると距離を増やしても持久力が増して、故障するリスクも少なくなりました。そこで食べるのが大事だなとすごく感じることができたんです。今では2杯以上が普通になり、嫌いだったピーマンとかも食べられるようになりました」

 食事だけではく、ビタミンや鉄分などのサプリメントもしっかりと摂っている。もともと体は強い方だが、食事を改善した効果だろう。今年はまだ風邪もひいておらず、身体はいたって元気だ。さらに強くなった体で山を試走し、結果を出してきた。

「試走のタイムは特に聞いていないですけど、自分の感覚では予想以上に走れました。自分が得意とする坂だったので、キツかったけど、そんなに苦しさもなかったです。トラックのレースより楽しく走れましたし、監督からは『いいぞ』って褒めていただいたので、自信がかなりつきましたね」

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