箱根にはない緊張感。神野大地が「ほろ苦い初マラソン」を詳しく語る

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

神野プロジェクト Road to 2020(10)
福岡国際マラソン 前編

(前回の記事はこちら>)
 
 福岡国際マラソン、2時間12分50秒―――。

 さまざまなアクシデントに見舞われ、リタイヤも考えたが、神野大地は最後まで走り切った。日本人7位、総合13位、初めてのマラソンのタイムとしては決して悪くはない。

 しかし、日本人トップの大迫傑(すぐる)には5分の差をつけられた。

 目標タイムの2時間8分59秒をクリアすることも、福岡で勝つことも、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)の権利を獲得することもできなかった。そのために春から厳しい練習に取り組み、徐々にステップアップしてきた。それだけにレース後、「この結果は悪くない」と言いながらも、「もっとやれたはずなのに」という思いが、表情や言葉の端々からに滲んでいた。

 福岡での42.195km、神野に何が起こったのだろうか――。


初マラソン、福岡国際は13位に終わった神野大地初マラソン、福岡国際は13位に終わった神野大地
 神野から衝撃的な言葉を聞いたのは、福岡国際マラソンの9日前だった。

「実は先週、アキレス腱痛が出て、この2、3日で状態が上がらなければ、福岡をあきらめるかもしれません」

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