【東海大・駅伝戦記】箱根に通じる最終レースで部員同士が火花を散らす (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 周囲から求められているものが高く、關自身も自分に厳しいので今回の結果には満足はしていない。だが、気になるのは結果以上にスピードと長い距離の『融合』が進行しているかどうかだ。春からスピードに特化した練習に取り組み、1500mでは3分42秒08で東海大記録を作り、オランダでは5000mで13分35秒81の自己ベストを記録した。9月の日体大記録会では1万mを28分23秒37の自己ベストを出すなど、スピード練習の成果が見て取れた。しかし、重要なことはロードレースでそれを発揮できるか、20kmという距離でスピードを生かせるか、である。

 出雲駅伝では6区(10.2km)で区間賞を獲る走りを見せたが、全日本大学駅伝では4区(14km)を走り、区間6位に終わった。この上尾ハーフも日本人3位で、距離が長くなってから思うような結果が出ていない。

「まだ、ちょっとスピードを距離に活かし切れていないですね。完成度としては60~70%ぐらいだと思います。求めているところには、まだ届いていないですし、20kmでもうちょっといいタイムを出したい。箱根までには、なんとか100%に近づけるようにしたいと思っています」

 悪くはないけど、よくもない。そんなもどかしさを少し抱えているような表情だった。箱根まで1カ月ちょっとだが、そのモヤモヤをどのくらい解消してスタートラインに立てるか。"融合"はもう少し時間がかかりそうだ。

 日本人上位争いでは最後、トラックに關ら3人がなだれ込んできたが、そのひとりが湯澤だった。スタートから日本人先頭集団に位置し、ラストまで走りがまったく落ちなかった。春のインカレでハーフマラソンに出場するなど長距離を走る練習をメインにし、夏は実業団の練習に参加して連日、距離を踏んだ。まだ、優勝こそないが札幌マラソンでは2位、今回の上尾では日本人4位と長距離の練習の成果が表れている。

「今日のレースは、最低でも62分台で行きたかったんですけど、風が強くて前半ペースが上がらなくて......。ただ、日本人の先頭集団についていけば、最後5kmぐらいでの勝負かなと思っていたので、それまでは冷静に対応していこうと思っていました。タイムは最低限ですが、ラスト3kmで攻める走りができたので、それはよかったです」

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