強力2トップの東海大。全日本大学駅伝に向け「長距離化」は進んだか (5ページ目)
冷静に話をする表情は1年生とは思えない、何だか貫禄すら感じてしまう。ルーキーデビューとなる全日本での走りに期待値は上がるばかりだ。
出雲でアンカーとしてゴールラインをトップで切った關も好調を維持している。出雲後は大分のレースに出場した鬼塚や館澤とは、ちょっと異なるスタンスで練習に取り組んできた。
「出雲が終わって全日本までの4週間を1週間、2週間、1週間と分けて、最初の1週間は出雲の疲労があったので少し休みました。次の2週間は全日本に向けてというよりは、その先にある上尾シティハーフ(11月19日)に向けて、しっかり走り込んでおこうと思い、長めの距離を走るようにしていたんです。みんなよりもちょっと距離を多く走ったり、秦野での練習の時は車での送迎があるところを走って往復したり、そういう細かいところで他の選手よりも距離を踏んでいました」
關が「ハーフ」にこだわるには理由がある。
かねてから1500m、5000m、1万mとあらゆるレースに対応できる選手になるのが關の目標だった。実際、關は1500mでは3分42秒08という東海大記録を出し、5000mでは7月に13分35秒81、1万mでは9月の日体大記録会で28分23秒37を出している。唯一未踏の地がハーフなのだ。
「1500mから5000mまで取り組んできて、1万mもだいぶ走れるようになったんですが、ハーフの20km以上は箱根しか走っていないんです。今のままだと20kmを走れないと思われてもしょうがないんで、上尾で記録を出して、そういう声を見返してやりたいですし、箱根駅伝に向けて、自分も手強い選手のひとりだというのをアピールしていきたいと思っています」
關の"長距離化"は順調に進行しているようだ。もともとスピードがあり、これにタフさと長距離を走れる走力、さらにペース変化への対応力がつけばオールラウンダーとしてずば抜けた選手になるだろう。
ただ、關には今回、すべきことがひとつある。
昨年、全日本駅伝では出走する準備をしていたが体調を崩し、出場を断念した。そのため、区間の配置換えで混乱が生じ、選手たちは実力を発揮できないまま8位でシード権を失った。そのシードを取り返すための今年6月の予選会、關は自らの責任を感じて走り、出場権を獲得したという経緯がある。昨年の過ちを繰り返さないように、今年はしっかりと走り、結果を出すことが求められる。
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