女子マラソン、日本は入賞ゼロの屈辱。
「遅くても強い」米国との違い (4ページ目)
アメリカ勢はリオ五輪でも6位と7位、9位になる健闘を見せていた。日本陸連の山下佐知子オリンピック強化コーチも、マラソンの持ちタイムはないのに、本番では結果を出す、そのタフさに注目していたという。
実際、クラッグのマラソン以外の記録は、5000mが15分09秒59、1万mは31分10秒69、ハーフマラソンは1時間08分27秒と、日本選手でも届かないタイムではない。ただ、彼女たちはそんな記録を一定のペースで走る記録会ではなく、駆け引きのあるタフなレースで出しているからこそ、揺さぶりや強烈なペース変化にも対応できるのだろう。
マラソンも記録を狙うというより、夏場の世界大会で結果を出すことに照準を合わせて走っているため、持ちタイムも遅いのだと考えられる。日本勢が入賞を狙うなら、最初から速いペースに持ち込んで先頭集団を絞り込むという作戦も有効だが、さらに高い目標であるメダルを狙うとなれば、アメリカのような戦略的な取り組みが欠かせない。
世界選手権の入賞ゼロという記録は、日本女子マラソンにとって11大会ぶりという屈辱的な結果だった。ここから復活するためには、選手個々のスピード強化やタフさを身につけるだけでなく、組織としての戦略の立て直しも必要になってくるだろう。
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