山の神・柏原竜二が語る引退の真相。「駅伝に逃げてはいけないと...」 (7ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

 福嶋監督からは引退を慰留され、柏原本人も「駅伝を走るだけなら、他のチームに移ってもそこそこ走れるかもしれない」という想いが頭の中をよぎったという。エース区間でなければ、区間10位以内で走れる力はまだ残っているだろうと。

「でもその時、『ちょっと待てよ、俺のやりたいのは駅伝だけじゃないぞ』と思い直したんです。僕が富士通に入ってやりたかったのはマラソン。駅伝に出るのは、マラソンのための手段でしかないと。駅伝を走りたいという選手を否定するわけではありませんが、それが僕の考えでしたから。『違う違う、そこに逃げてはいけない』と思って、引退を決めたんです」

 自分の現状は、とてもマラソン練習ができる状態ではない――。引退を決意させたのは、駅伝で名を馳せた男のマラソンに対するこだわりだった。

(後編につづく)

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