山の神・柏原竜二が語る引退の真相。「駅伝に逃げてはいけないと...」
柏原竜二が語った「引退とその先」(前編)
3月31日をもって、5年間在籍した富士通の陸上競技部を引退した柏原竜二。6月1日には、同社のアメリカンフットボール部・富士通フロンティアーズのマネージャーを務めていることが発表され、意外な第2の人生を歩みだしたことが大きな話題を呼んだ。
今年3月いっぱいで現役を引退した柏原 photo by AFLO 柏原には引退後すぐに取材を申し込んだが、「もう少し待ってほしい」との返答があり、7月に入ってからのインタビューとなった。柏原はその理由について「(引退から)時間を置かないと、勢いで話をしてしまいそうな気がして......。そこで一斉に取材を受けてしまうと、『意に沿わない形で報道されることもあるだろうな』と思いましたし、ちょっと時間を空けてからでも声をかけてくれる方々に話をしたいという考えもあって、この時期になってしまいました」と笑顔で明かした。
この数ヵ月で自らの引退を冷静に振り返った柏原は、今年でまだ28歳という"早すぎる"決断について話しはじめた。度重なるケガに悩まされていたとはいえ、30歳を超えても第一線で活躍するランナーも多く、まだ再起のチャンスはあったように思える。しかし、競技生活に終止符を打つことについては、最初から納得していたという。
「周囲からは、かなり悩んでから引退を決断したと勘違いされがちですが、『昨季の1年でケガをしたら、結果が出なかったらやめよう』という想いでやっていたので、ズルズルと競技生活への未練を引っ張ることはなかったですね。自分の中では、東京五輪を目指すことよりも、引退後の人生のほうに気持ちが向いていたんです。今は、競技者としての経験を会社にどう還元するか、日々考えています」
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